さて、前回に期続き、不動産売買に弁護士が必要かどうかについての第2回です。
弁護士が必要になる事案の一つとして、収益物件の売買であり、かつすでにテナント
がいるという事案があります。
このような場合においては、売買により所有者が変更になるタイミングで、テナント
との条件を見直すかどうかががポイントになります。
テナントとの賃貸借契約において見直しの議論となるものは、主に
①賃料の増減
②敷金・保証金の増減
③普通賃貸借とするか定期賃貸借とするか
④(近い将来再開発が予定されている場合)明渡しに向けた条件面(立退料等)
等があると思います。
これらの内容について、どのような形が相場であるかどうかなどは、このサイトの記事
としてはややずれてしまいますので、割愛させていただきますが、このような条件面に
ついて、だれが、どのタイミングで交渉をするかということがポイントとなります。
実際の多くの事案では、仲介業者が間に入り、テナントと新所有者との交渉を行っている
場合が多いかと思います。ただ、この仲介業者による交渉が適法かどうかは議論がある
ところです。
少し前の事件ですが、東証2部上場の不動産会社が立ち退き交渉を依頼していた大阪市
の建設会社の社長および社員が、弁護士法違反で逮捕されたという事案がありました。
弁護士法72条は、「法律事件」に関する業務は、弁護士以外の者がやってはいけない
という規定で、弁護士法第72条の弁護士でない者が行ってはならない「法律事件」で
ある入居者の立退交渉を、不動産会社が行っていたということで逮捕されてしまった事件です。
テナントとの交渉においてトラブルが発生しなければ、仲介業者がテナントとの交渉を行う
ことが実際に問題となることはないとは思いますが、テナントとの交渉は慎重を要するもの
であり、また、こちらに落ち度があると思われては交渉を有利に進めることができなくなって
しまいます。
そのため、仲介業者が持っている情報網などはぜひ活用しながら、法的知識や交渉能力を
有している弁護士を活用し(当然、弁護士と仲介業者が協力しながら)、適法に、堂々と、
テナントとの交渉を行うことよいのではないかと思います。
ただの弁護士の宣伝ではないかと思われる方もいるかもしれませんが、トラブルになってから
相談されてしまってもどうしようもない場合もあります。不動産を購入される際には、事前に
色々な調査をし、値下がりするリスクや、収益が挙げられないリスクなどの検討を慎重に行わ
れると思います。
でも、法律問題についてのリスク分析はあまり行われないんですよね。。。トラブルが生じる
リスクは、値下がりするリスクや、収益が挙げられないリスクなどと同じくらい重要だと
思いますし、発生する可能性は、少なくないと思います。早めに相談しておけば、安くすんだのに、
トラブルに発展し、訴訟対応等が必要となってしまったので、高くなってしまったという話は
多々あります。費用対効果もあると思いますので、まずは、弁護士に相談し、弁護士が必要か
否か、弁護士が必要となる場合の費用を確認してはいかがでしょうか。