税理士の澤田美智です。
太陽光発電設備を設置した場合の確定申告についての第2回です。
今回は、全量買取と確定申告について解説していきます。
太陽光発電の全量買取の売電収入は事業所得?雑所得?
1 事業所得であれば節税できる!
事業所得と雑所得では、どのような違いがあるのでしょうか?
事業所得であれば、青色申告特別控除の65万円控除が適用できます。
事業的規模か業務的規模かに関係なく適用できます。
不動産所得に該当した場合には5棟10室基準等により、10万円控除か
65万円控除が適用できるかが決まります。
しかし、事業所得の場合には、規模は関係ないのです。
では、雑所得の場合にはどうでしょうか?
雑所得の場合には「青色申告」ができません。
つまり青色申告特別控除は適用されません。
収入から経費を差し引いた金額が所得となります。
また、赤字となった場合でも、ほかの所得との相殺ができません。
では、事業所得か雑所得かはどのように区分されているのでしょうか?
例えば、出力量50kW以上の場合には、一般的に事業所得になると
考えられます。
なお、出力量50kW未満の場合であっても、次のような一定の管理を
行っているときなどは、一般的に事業所得になると考えられます。
(出典:資源エネルギー庁の「事業的規模に関する目安」)
①土地の上に設備を設置した場合で当該設備の周囲にフェンス等を設置
しているとき
②土地の上に設備を設置した場合で当該設備の周囲の除草や当該設備に
係る除雪等を行っているとき
③建物の上に設備を設置した場合で当該設備に係る除雪等を行っている
とき
④賃借した建物や土地の上に設備を設置したとき
など
※自己の建物の上に設備を設置した場合で特段の管理を行っていないと
きは、雑所得になります。
50kW以上であれば、まず事業所得に該当しますので、解りやすいで
すよね。ただ、コストが割高になり利回りが低くなるので、50kW未
満で設置される方も多いです。
では、50kW未満だったら雑所得になってしまうのでしょうか?
ここで重要なのは「一定の管理」です。上記の4つの条件のいずれかに
該当すれば、50kW未満でも、たとえ20kWでも事業所得として認
められる、ということになります。
ただし、※に注意してください。ご自宅の建物の屋根に設置した設備は、
50kW未満であれば、雑所得になります。
2 節税額は?
事業所得に該当した場合の具体的な節税金額を計算してみます。
売電収入が100万円あった場合、
100万円 - 65万円 = 35万円
35万円に対してのみ税金がかかります。
つまり、65万円については、売電収入があっても課税されないことにな
ります。
65万円 × 30% = 19.5万円(所得税の税率が30%と仮定)
20年間で
19.5万円 × 20年 = 390万円
税金が390万円お得になります。
これ以外に、住民税も10%安くなります。
65万円 × 10% = 6.5万円
6.5万円 × 20年 = 130万円
合計で税金が420万円もやすくなります。
太陽光発電設備を設置した場合には、1年目の申告に注意してください。
事業所得か雑所得か不動産所得かで大きな違いがあります。
よく検討されて確定申告をしてください。
次回は「節税方法ってあるの?」という題で、消費税の還付申告のお話を予定
しています。