税理士の澤田美智です。
新築の家を購入された場合や賃貸住宅を経営されている場合、太陽光発電設備
を提案されることが多いと思います。
でも、太陽光発電設備を設置したら、確定申告をしなければならないの?
確定申告をするとしたら、どんな所得になるの?
など、解らないことが多いと思います。
実は、税制上も複雑ですので、迷われるのは当然です。
そこで今回は、これらの疑問を解消すべく、解説していきます。
①税制上の優遇措置にはどんなものがあるの?
②余剰電力買取と確定申告
③全量買取と確定申告
④節税方法ってあるの?
④減価償却費の計算方法
⑤補助金をもらったらどうするの?
①税制上の優遇措置にはどんなものがあるの?
太陽光発電設備のうち一定のもの(※)は「グリーン投資減税」の対象となります。
※固定価格買取制度の設備認定を受けていない10KW以上の
設備が対象となります。
「優遇措置」
通常の減価償却費に加えて特別償却費として、取得価額の30%の減価償却が
できます。7%の税額控除も可能です。(所得税額の20%相当額が限度額)
どちらかの選択となりますが、トータルで考えますと、税額控除が有利
となります。
30%の特別減価償却費は、翌年以降に費用となる分を早めに計上できるだけ
です。
7%の税額控除は、減価償却費は普通に償却していきますが、それとは別に
税額控除が受けられるので、こちらの方がお得になる、という訳です。
「適用期限」
平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間内に取得し、取得後
1年以内に事業に供していること。
「対象者」
青色申告書を提出している個人事業者です。
ただし、太陽光発電設備を事業所得に使っていることが条件です。
つまり、不動産所得に使っている場合には対象にはなりません。
②電力買取と確定申告
電力買取には、全量買取と余剰買取があります。
この制度の違いによって所得も変わってきます。
この辺がとてもわかりにくい理由ですね。
「余剰買取」
1.給与所得者等が自宅に設置したら?
家事用として使用している場合にも余剰電力を売却したら、売却
収入は「雑所得」になります。
つまり確定申告しなければならないのでしょうか?
この余剰電力を売却するために、太陽光設備を購入していますので、
実際には減価償却費を計算しますと収入は出ないと思われます。
従って、結果的には申告はしなくてもすむケースが殆どです。
2.事業者が事務所や店舗等に設置したら?
この場合には事業用として使用していますので、余剰電力を売却
収入は「事業所得」になります。
3.店舗兼住宅に設置したら?
この場合、注意しないと余剰電力の売却収入のすべてが「事業所得」
となってしまいます。しかし、費用となる減価償却の計算については、
家事用と事業用に按分して計算しなければなりませんので、注意が必要
です。
電気使用料メーターを家事用と事業用に区別されておく方がいいで
しょう。
4.賃貸アパートに設置したら?
余剰電力の売却収入は「不動産所得」となります。
次回は、「全量買取と確定申告」と「節税方法」を中心に説明したいと思います。