税理士の澤田美智です。
不動産所得節税ガイド ④ 減価償却費 建物と土地の按分(2)
按分計算の基準
建物と土地の按分割合を決める基準としては次の方法が
あります。
①固定資産税評価額に基づく方法
②土地価格を計算して売買価格から控除する方法
③建物価格を計算して売買価格から控除する方法
④土地と建物の価格を計算して按分する方法
①固定資産税評価額に基づく方法
固定資産税評価額はもともと建物価格を低めに設定しているた
め、建物の按分割合が低くなってしまうことが多いです。
できれば、②から④のいずれかの方法により計算するほうが得
になることが多いです。
②土地価格を計算して売買価格から控除する方法
土地の価格を、路線価や公示価格、または最近の取引事例があ
れば、その金額によって土地の価格を計算します。
その土地の価格を売買価格から控除して、建物価格とする方法
です。
③建物価格を計算して売買価格から控除する方法
建物の再調達価格を計算します。
再調達価格とは、現時点で再建築した場合の価格です。
基準となる建築価格は、平米単価で概ね下記の通りです。
木造・軽量鉄骨 | 15万円(12-15万円) |
---|---|
重量鉄骨 | 18万円(15万円-18万円) |
RC・SRC |
19万円(18万円-20万円) |
カッコ内の数値は、銀行による多少の違いをレンジで
示したものですので、この範囲内であれば安全な評価
と思われます。
この再調達価格の金額に延床面積を掛け、経過年数を
加味したものが建物の価格になります。経過年数は法
定耐用年数を上限として計算し、以下の通りです。
木造・軽量鉄骨 | 22年 |
---|---|
重量鉄骨 | 34年 |
RC・SRC | 47年 |
建物の価格が計算できたら、売買価格から控除して土地
の価格を計算する方法です。
④土地と建物の価格を計算して按分する方法
②と③の価格を計算して、その割合により売買価格を按分
する方法です。
どの方法がベスト?
実務の場面では、①から④のすべての方法により計算して
みて一番有利となる方法により計算した割合で売主と交渉
することになります。
注意点としては、これらの交渉は、売買契約書に反映され
ますので、売買契約を締結する前に決めておかなければな
らない点です。
後から契約書を書き換えることは難しくなりますので、
売買価格が決まった時点で交渉をされる方がいいでしょう。