税理士の澤田美智です。
不動産所得節税ガイド ② 減価償却費 中古資産を取得した場合
中古資産を取得した場合には、耐用年数を短くすることができます。
新築の建物の耐用年数と同じではおかしいですよね?
法律では、その建物使用可能年数を見積り、その年数を耐用年数とし
ます。でもこの計算は難しいですよね?
実際には、簡便法による耐用年数で償却することになります。
① 法定耐用年数を超えている物件
木造住宅の法定耐用年数は20年ですが、建築後25年経過している木造住
宅を取得した場合等です。
この場合には次の計算で耐用年数を計算します。
法定耐用年数 × 20%
つまり、木造住宅であれば、
20年 × 20% = 4年 となります。
ただし、1年未満の場合には1年で償却、2年未満であれば2年で償却する
ことになります。
② 法定耐用年数の一部を経過している物件
木造住宅で建築後10年経過している者を取得した場合等です。
この場合には次の計算で耐用年数を計算します。
(法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20%
つまり、木造住宅であれば、
(20年-10年) + 10年 × 20% = 12年 となります。
1年未満の端数がある場合には、切り捨てます。
例えば、12.5年 → 12年 となります。
③ 中古物件を購入した時に重要なこと!
前回のコラムでは、新築の建物の細分化について書かせていただきまし
た。新築の建物の場合には、細分化をすることが比較的簡単です。
でも中古物件の時には、建物明細書がないことの方が多いため、細分化
することが難しくなります。特にマンション等の場合には、もともと明
細書のようなものがないため、中古であればなおさら難しくなります。
中古物件の場合、簡単には分けられません。
実務上は簡便法として、本体70%、附属設備30%として按分する方
法があります。
しかし、根拠を示すことが難しいので、絶対に否認されない、とは言い
切れません。
否認されないためには、それなりの根拠が必要なため、確実な方法とし
ては不動産鑑定士に鑑定してもらう、ということになります。
鑑定費用がかかりますので、費用と節税額を天秤にかける、ということ
になります。
実際には、鑑定士に評価してもらった結果、附属設備がほぼ30%に近
い数字になることも多いため、かけ離れた数値ではないと思っておりま
す。
通常のたてものであれば、ほぼ大丈夫だと思いますが、建物本体が相当
に高額な場合等には考慮する必要があると思います。
次回は、「土地と建物按分について」の予定です。