税理士の澤田美智です。
第4回 ③「青色申告の損失の繰越って?」
青色申告の特典は次の通りでした。
■青色申告の特典
①青色申告特別控除 10万円or65万円
②青色専従者給与の必要経費算入
③青色申告の損失の繰越
④現金主義による所得計算
⑤税額更正の制限
③青色申告の損失の繰越
不動産所得の損失(赤字)があった場合には、給与所得や事業所得と相殺できます。
これを「損益通算」といいます。
損益通算をしてもまだ損失が残る場合があります。この損失のことを「純損失の金額」
といいます。
白色申告者の場合、この純損失の金額は、切り捨てになってしまうんです。
もったいないですよね。
それに対して青色申告者に場合には、その損失が生じた年の翌年から3年間繰り越せます。
特に初めて不動産を取得した最初の年度はいろいろな経費も多く、また収入も1年分に満たないことから
赤字になる可能性が高いです。
「青色申告届出書」の提出を忘れないようにしてください。
提出期限は、事業開始から2ケ月以内です。
お得ポイント1 繰戻し還付制度って?
これは、前年以前に払った税金を返してもらえる、というものです。
翌年に損失を繰り越すこともできますが、その赤字に見合う前年の所得税を還付してもらうこともできるんです。
この取り扱いを受けるためには、確定申告書に「銃損失の繰戻しによる所得税の還付請求書」
を付けて申告期限までに提出する必要があります。
ただし、前年分についても青色申告書を提出していることが要件です。
意外と知られていない制度です。
が、例えば今年不動産をほぼ売却したため、ほとんど不動産所得がなくなり、赤字になりました。
来年以降に損失を繰越しても、ほかに所得がないため、控除できなくなってしまいます。
このようなケースでは、繰戻し還付制度により所得税を戻してもらえばいいんです。
是非、検討してみてください。
お得ポイント 2 資産損失の雑損控除って?
賃貸住宅等の固定資産などが、取壊し、除却、滅失等によって損失を生じたときは、その損失の金額を必要経費に算入
できます。これを「資産損失」といいます。
この資産損失の取り扱いは事業的規模か事業的規模以外かで異なります。
事業的規模の場合、その資産損失の額は全額必要経費になります。
しかし、事業的規模以外の場合には、不動産所得の金額が限度となります。つまり、赤字には絶対なりません。
たとえこの損失が災害等によるものであったとしても、赤字にはならないんです。
ただ、実はこれには裏技があります。
災害・盗難・横領により損失が発生した場合には、所得控除である雑損控除の対象とすることができるんです。
これも意外と知られていません。
これを適用すれば、雑損控除してもなお引ききれない損失が残った場合、雑損失の繰越控除として翌年以降
3年間、繰越控除もできます。
災害・盗難・横領による損失を受けた場合には、是非、検討してみてください。
第5回は「現金主義による所得計算他」です。