税理士の澤田美智です。

第2回 「青色申告特別控除って?」

第1回では、青色申告の帳簿についてご説明してきました。

今回は、「じゃあ、青色申告をしたらどんな得があるのか」

についてです。


■青色申告の特典

①青色申告特別控除 10万円or65万円

②青色専従者給与の必要経費算入

③青色申告の損失の繰越

④現金主義による所得計算

⑤税額更正の制限

これが、青色申告の特典でした。

今回は「青色申告特別控除」についてのです。


① 青色申告特別控除




これは、もう皆さんもよくご存じだと思います。

でも、10万円と65万円では随分大きな差がありますよね。

65万円控除を適用するにはどうすればいいのでしょうか。

いわゆる、事業的規模に該当する必要があります。

具体的には5棟10室基準という形式基準により判断することが多いです。

ただ、この形式基準に絶対に該当していなくてはならないわけではありません。

「社会通念上事業と称するに至る程度の規模で不動産の貸し付けを行っているかどうか」

により判定されます。とても抽象的ですよね。

そこで、上記の5棟10室基準があるのです。

  5棟  貸家が5棟ある

  10室    貸室が10室ある

いずれかに該当すればOKです。もし貸家と貸室がある場合には、貸室2室で1棟と換算して判定します。

土地を貸している場合には、貸家や貸室の賃料との比較により判定されます。

貸家や貸室の賃料は地域によって違いますので、金額での判定ではなく、その地域の相場によって判定することになります。

ポイント 1


共有で所有している場合にはどのように判定するのでしょうか。

共有持分で按分した後で判定するのではなく、按分する前の全体の規模で判定します。

得になるポイント 2

青色申告ができるのは、不動産所得・事業所得・山林所得の3つの所得に限られています。

事業所得については、事業的規模の概念がありませんので、帳簿を複式簿記でされていれば、

65万円控除ができます。

しかし、青色申告特別控除は所得ごとに認められているのではなく、全体の所得から65万円を控除する、という制度です。

また、控除する順番が決まっています。まず、不動産所得から控除し、控除額の残額があれば事業所得から控除します。

裏返せば、


どんなに少額であっても事業所得があれば、不動産所得が事業的規模でなくても

65万円控除してもらえる、ということです。

私どものクライアントでも、例えばネット販売をしているが、あまり所得が出ていないので、

申告はしない、とおっしゃっていた方がいらっしゃったのですが、たとえ事業所得が赤字であっても、

申告をすることにより不動産所得から65万円を控除してもらえます。

また、所得間の損益通算もできますので、事業所得の赤字と不動産所得の黒字を

相殺できる効果もあります。

事業所得がずっと赤字の場合には、事業として認められないケースもありますので注意が必要です。

第3回は「青色専従者給与の必要経費算入」についてです。

 
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