こんにちは、
相続士・ファイナンシャルプランナーの
澤田朗です。
・国税庁:平成26年分の相続税の申告状況について(統計情報)
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/sozoku2014/sozoku.htm
前回のコラムでご紹介した上記の統計情報、ちなみにこの統計の中には、「還付税額」という金額も掲載されています。平成27年分の統計情報がまだ公開されていませんので、平成26年分の金額を見てみると約17億円となっていて、納付税額約1兆3,900円に比べれば少ない金額ですが、700人弱の相続人が税金の還付を受けています。
相続税をはじめ、所得税や法人税、消費税や酒税など、それぞれの税について「更正の申出」「更正の請求」を行うことで、計算違い等で税金を多く納めた場合等に、あらためて申告をし直すことで払いすぎた税金が「還付金」として戻ってくることになります。
相続税の場合は「更正の請求」手続きを行い、その内容が認められれば、納めた税金の一部が戻ってきます。還付税額の中には、更正の請求によって戻ってきた金額も含まれています。
では相続税の場合、どのようなケースで更正の請求が行われることが多いのでしょうか。おおよその想像がついている方も多いと思いますが、相続財産の中の土地についての評価方法や評価額が適正でないため、その分相続財産全体の評価額が大きくなり、結果、相続税も多く払っている場合に請求行われるケースが多くなっています。
ちなみに相続をビジネスとしている業界では以前、「更正の請求」ビジネスが盛んに行われていたということです。高額納税者にセミナーやDMなどで、土地評価をあらためて行うことで相続税が還付される可能性があるということをお伝えして、還付された場合には成功報酬としてその額の一定の割合を受け取るという流れです。
成功報酬でフィーを頂くということは現在私も行っていますが、高額納税者向けにセミナーやDMでアナウンスをするということは行っていません。以前は国税庁が毎年「高額納税者公示制度」いわゆる「長者番付」を公表していたので、どこの誰がどれだけ税金を納めていたかがわかったわけです。このような人たちは、相続が発生した場合にも多額の相続税を払っていることになり、そこに向けて営業がかけられたというわけです。
しかし、2006年からこの制度は廃止され、このようなリストの入手は困難になりました。廃止された理由としては、近年盛んに言われている個人情報保護の観点や、個人情報が公開されることによる犯罪の抑止などが挙げられています(理由はほかにあると言われていますが……)。
次回は、普段わたしがお客様に行っている、相続税における更正の請求手続きの概要や流れについてお伝えをしていきます。