こんにちは、
相続士・ファイナンシャルプランナーの澤田朗です。
「地籍調査」についてお伝えするのは3回目となります。
今回は、地籍調査を行うことで、
土地所有者にどのような影響を及ぼすのかをお伝えしたいと思います。
今回、地籍調査の対象となったお客様の土地については、
以前私のほうで簡易測量を行っており、おおよその地積を把握しています。
境界杭がある箇所と無い箇所があるのですが、
ブロック塀や道路境界等でおおよその境界ははっきりしており、
地籍調査を行ったとしても簡易測量との地積の差異はそれほど大きくないと考えられます。
ただ問題なのは、この土地はいわゆる「縄伸び」をしており、
簡易測量での地積は約800平米なのですが公簿上の地積は約760平米と、
40平米程度実際の地積のほうが大きくなっています。
今回の地積調査によってこれが明らかとなって登記しなおされることになり、
固定資産税の評価額のほか、相続財産としての評価額にも影響が出てきます。
それぞれ評価額が大きくなりますので、その分税負担も増えるということになります。
「縄伸び」という言葉が出ましたので、ここで「縄伸び・縄縮み」についても簡単にお伝えしておきます。
「縄伸び」とは、登記簿謄本に記載された土地の面積より実際に測量をした土地の面積のほうが大きいことを言います。
逆に「縄縮み」は、登記簿謄本の面積より実測した面積が小さいことを言います。
このようなことが起こる原因としては記載されている面積が、
前回のコラムでお伝えしたように明治時代に行われた測量の内容をもとに
そのままになっている場合が多く、技術的な問題があったほか、
意図的に登記簿上の面積を大きくして売却時の代金の増加を図ったり、
逆に登記簿上の面積を小さくして税負担の軽減を図ったということも考えられています。
実際に以前私が行った測量では、
お客様の土地を昭和40年代に測量をした地積測量図が出てきたことものですが、
あらためて行った測量の地積との差異が大きかったケースもあります。
その当時の図面はまだ手書きのものでしたので、
平成に入り図面作成ソフト等で機械的に作成されたものを、
信用度の高い地積測量図の目安としても良いかもしれません。
またわたしの今までの経験上ですが、
縄縮みの土地より縄伸びの土地に出会った回数のほうが多いので、
今後もこのように地籍調査によって税負担が増えるという方が多くなるのではないでしょうか。
地籍調査の目的の一つとして「課税の公平化」が挙げられていますが、
国としてもできるだけ税収を増やしていきたいというのが本音のところではないかと思います。
公簿上の地積と実測での地積との差異を把握するためには、やはり測量が必要となってきます。
今回のような地籍調査が入ることになった際は、
隣地との境界確定については隣人との話し合い等が必要となりますが、
保有している土地の実際の価値を把握しておくことで
事前に実際の固定資産税の評価額のほか相続財産としての評価額も確認することができます。
(続く)