こんにちは、
相続士・ファイナンシャルプランナーの澤田朗です。
前回のコラムからお伝えしている「地籍調査」、
今回は、なぜ「地籍調査」を行うのかをお伝えしたいと思います。
現在、法務局にはさまざまな土地の情報が登記簿と一緒に図面や地図として保存されています。
登記簿には地積のほか、所有権や抵当権の設定履歴等が記載されています。
図面や地図については測量士や土地家屋調査士が確定測量を行ったものや公図等も保存されていますが、
明治時代に行われた地租改正の時に作成されたものがそのまま残っているものも多く、
境界や地積・地形等が現状とは異なっている場合が少なくありません。
このような古い情報を修正し、現状の状態にそって登記をしなおすのが「地籍調査」となります。
調査はおもに地方自治体(市区町村等)が主体となって行われます。
調査にかかる費用の負担は国が50%、残りの50%を都道府県と地方自治体が負担するのですが、
この費用は特別交付税の対象となっていて、実際に地方自治体が負担をするのは費用の約5%となっています。
このような調査にかかる費用を土地の所有者に負担を求めることは無く、
所有者にとっては費用がかからずに土地の境界確定を行えるメリットもあります。
ほかにも地籍調査を行うことによるメリットとしては、
境界や地形が確定し土地取引等がよりスムーズに行うことができるほか、
相続財産としての評価額も明確になります。
また、区画整理や再開発等のまちづくり事業も進めやすくなるほか、
災害時の復旧作業も迅速に行えるようになります。
ただ、この地籍調査、日本全体では51%が終了しているのですが、
都道府県によって進捗率にばらつきがあります。
東北・九州地方は進捗率が高いのですが、
関東から近畿圏では低くなっていて、
また都市部や山間部の調査が進んでいません。
お客様の住んでいる神奈川県は13%で全国ワースト5に入り、
私の住んでいる足立区はなんと3%と、ほとんど進んでいないのが現状です。
逆に考えると都市部の調査はこれから行われることになり、
今後あなたの土地にも調査が入る可能性は十分にあるということです。
それぞれの地域についてどのくらい地籍調査が進んでいるのかは、
国土交通省のサイトでも確認ができますので、
ご自身の地域について確認をされても良いと思います。
・国土交通省 地籍調査Webサイト 「地籍調査状況マップ」
http://www.chiseki.go.jp/map/index.php
次回は、地籍調査を行うことで
土地所有者にどのような影響があるのかをお伝えしたいと思います。
(続く)