こんにちは、
ファイナンシャルプランナーの澤田朗です。
わたしのクライアントで、ご自宅の土地・建物のほか、
隣地を他人に貸している方がいらっしゃるのですが、
その「借地権」が設定されている土地に住んでいる
「借地権者」の方が先日亡くなりました。
「借地権」とは建物の所有を目的とする地上権又は
土地の賃借権をいいます。
例えば土地を他人から借りていて、
その土地に自分で建物を建てて住んでいる人などは
「借地権者」として、土地全体のうち一定の割合の
「借地権」を保有していることになります。
どれくらいの割合の借地権を保有しているかは、
国税庁が毎年更新をする「路線価図」で確認でき、
地域によってその「借地権割合」は90%~30%までと様々です。
ちなみに現在の民法では、5種類の借地権が存在していますが、
一般的に「借地権」というと、
「旧借地法、借地借家法第3条」
に基づく借地権を指し、
借地権者の立場や権利が非常に強固なものとなっています。
土地を借りている代金として
「地代」を払うのですが、その金額は安価な場合が多く、
また、この借地権には期限がありませんので、
半永久的にその土地を利用することもできます。
言い換えれば土地を貸している人、
いわゆる地主さんにとっては、
自分の土地であっても自由に使うことができない、
けれども、固定資産税等は負担しなければならずに地代も少ないという、
非常にやっかいな資産であるケースが多くみられます。
都市部など地域によっては、
固定資産税の数倍の地代をとれるところもありますが、
クライアントの場合は、地代と固定資産税がほぼ同額で、
土地を有効に活用できていないという現状にあります。
地主さん側から見ると、
借地権が設定されている土地のうち、
自分が持っている権利部分を
「底地」といい、
「1-借地権割合」部分を保有していることになります。
自分の土地とはいえ、
その全部の権利を持っているわけではなく、
借地権者と権利を按分して保有していることになります。
前置きが長くなりましたが、
この「借地権」も借地権者が亡くなった場合には
相続人の方に相続されます。
借地権者が変わったからといって
特に地主さんに承諾をもらう必要は無く、
あらためて「借地契約」を締結し直す必要もありません。
このように相続発生後も借地権は
相続人の方に代々引き継がれていきます。
クライアントは自宅の土地と
その隣にあるこの土地を合わせて、
将来資産活用をしたいと考えているので、
今回の借地権者の相続のタイミングに合わせて
借地契約の解消をしたい(借地権相当額の立ち退き料を払う)
と考えています。
数年前からご相談を受けていて、
費用の準備も進めていました。
ただ相続発生のタイミングが思ったよりも早く、
想定している費用を全額準備できていない状態ではあります。
身内の相続でさえいつ起こるかわかりませんので、
他人様の相続なら尚の事というのは至極当然ではありますが。
身内以外に起こる(起こった)相続に対して
対策を考えておくことも地主さんにとって時には必要となってきます。
少々長くなりましたので、
続きは次回お伝えしたいと思います。
(続く)