みなさまこんにちわ、不動産コンサルタントの佐藤毅史です。
先日コラムで書きました、
「中古住宅を既存住宅と改称して、中古住宅市場の整備を促す」
国と、とある不動産会社のバッタ(出来レース)にも近いコラボレーションの基、今後は既存住宅の価値が経年減価で0とはならずに、適切に管理をすれば、その分の価値を認めようという動きに変わろうとしています。
いわゆる、「新築→既存住宅への流れ」を作ろうとしている訳ですが、導入としてお話ししました先日のコラムはこちら↓
【不動産流通の新しい形へ①】宅建業法の部分改正に見る今後の不動産売買市場と市況
【不動産流通の新しい形へ②】新しい鑑定評価手法として導入が検討されている2つの手法~その1~
【不動産流通の新しい形へ③】新しい鑑定評価手法として導入が検討されている2つの手法~その2~
前回紹介した新しい不動産価格の評価法は、ずばり!!
美魔女方式
ともいえるあって無い様な評価を基に不動産価格を評価する可能性について認めました。
本制度は既存住宅市場の整備と流通比率の極端な歪み(現状15%が既存住宅の流通シェア)是正するための制度ではあるのですが、
問題点も2つあります。
1つ目は前回コラムで紹介した、鑑定評価を実施するインスペクション実施者の能力や手腕、評価体系等を画一的に法整備出来るのか?
という点です。
そして、一番のネックである2つ目の難点を本日紹介します。
②融資実行する金融機関の担保評価法を激変させると共に、妥当か否かの検討が必須となる。
日本で不動産等住宅を購入される方の90%以上は、金融機関からのローン(融資)を利用する事になっているのですが、
仮に現金で購入される場合には、売主と買主の双方が合意して、価格に納得していれば問題は発生しません。
例えば、
築50年 土地付建物 3,500万円(土地2,000万円、建物1,500万円)
上記の様な物件の販売広告がポストに折込で入っていたとします。
これを見た、Aさん。
「築50年で建物が1,500万円!?何じゃこれ、面白そうだから見に行くか!」
と実際に見に行ったら、
「すげー、築50年には見えない。すげー手入れが行き届いている。これで3,500万円なら安いや、購入だ!」
と現金決済であれば、当事者双方が合意して納得しているのですから、問題ないのです。
しかし、その場で現金購入を決断できる人は多く在りません。
そうしますと、イザと云う時の抵当権実行による競売で叩き売れる価格を基に担保評価を算定する金融機関はというと、
従来通りの原価法に基づく法定耐用年数に基づく融資実行のため、まず築50年では建物評価は
ゼロ
となる事が目に見えています。
つまり、
当事者同士の現金決済であれば発生しない問題も、金融機関という融資手の存在から派生する担保評価の問題から、
容易に実行する事の難しさが浮き彫りになるという事なのです。
ある意味では、無理矢理にでも本制度の導入によって金を動かして、経済の原動力やエンジンにしようとする国の魂胆が透けて見えるのですが、マイナス金利の中で利ざやのとりづらい金融機関にリスク転嫁するのは、
ある意味では米国サブプライムの日本版が近くなっているのかなと思う私です。
本制度、実は一部金融機関では既に導入されているところもありますが、その辺は次回に!!