世界に多大な影響を及ぼしたBREXIT
2016年6月23日に、イギリスはついにEUから離脱する道を選びました。大方の予想が「EU残留」に傾いていたため、この結果を受けて世界の市場は大きく荒れました。日本に直接与えられた影響としては、安全通貨といわれる円に資金が流れ込んだことで円高が進み、日経平均株価は株安に、そして日本国債は買われるという動きがありました。アベノミクスが進んでいたころはアジア圏をはじめとした多くの外国人が日本の不動産を購入していきました。BREXITが現実になってしまった今、日本の不動産業界にどういった変化がもたらされるのでしょうか?
海外投資家による物件放出の可能性
市場の混乱を受けて、海外の投資家たちはリスクに対して非常に敏感になっています。中長期的なスタンスで考えたとき、この最近の動きのまま日本の不動産価格は上がり続けるのかが疑問になります。当然ながら慎重な彼らのスタンスにその余波を受けるわけで、追加投資のストップ、売却が進み、高額物件の取引は滞るでしょう。また中国では国内不動産投機も盛んで短期的な転売が横行しています。そういう意味では彼らにとって今、日本の不動産を売却することは非常に理にかなっています。逆に日本の投資家にとって買いのチャンスにもなるかもしれません。
基本的に大きな動きはしばらくない
しかし上記の点を踏まえても、基本的な国内不動産の見通しに大きな変わりはないことが予想されています。その理由として、賃貸市場におけるじわじわとした需要の引き締まりや、進められる金融緩和政策の恩恵にあずかった好況に、BREXITはそこまで影響を及ぼすとは考えにくいからです。東京五輪を背景とした不動産価格の上昇も手伝って、今しばらくは市況の回復が続くものと見込まれます。しかし、それはあくまで「しばらく」であって、2018年には状況が変わるという考えもあります。なぜなら、安倍政権において進められる金融緩和政策のキーパーソンである日銀の黒田総裁の任期が2018年までとなっているからです。安倍総理自身も同年、自民党総裁としての任期を終えることになるため、大方の変化の予想は2018年に集中しています。BREXITの影響を直接受けたヨーロッパ諸国も、それぞれ国内で大きなうねりを経験している最中で、間接的にその影響を受ける日本の市場は、これから1~2年後、大きな節目を迎えることとなりそうです。