桜の開花宣言を受けて、すっかり春の雰囲気になってきましたね。桜の柔らかい色合いは日本人の心に優しい気持ちを与えてくれるような気がします。不動産は、そこに住む家族の暮らしそのものです。暮らしの中に潤いがあれば、当然気分も盛り上がります。
暮らしに潤いを与えてくれるものの一つに窓から外を眺めた時に見える景色、いわゆる眺望があります。
眺望は、その不動産価格を決める要素の一つです。例えば、リビングの窓から、隣の家のコンクリート擁壁しか見えなかったら、ものすごい圧迫感ですよね。
不動産の販売チラシに目を向けると、日当たり良好、眺望良好などの宣伝文句が並びます。
ハワイのあるホテルではオーシャンビューの部屋は望めない部屋よりも1泊あたりおよそ1万円高いです(3月28日現在。詳しいことは旅行会社へお問合せください)。
果たして眺望には金銭的な価値としていくらの価値があるのでしょうか?
横浜のみなとみらいの例
例えば、横浜のみなとみらい地区は、タワーマンションが建ち並ぶ日本有数のマンションエリアです。一般的に、戸建、マンションに関わらず、日当たりを重視する傾向が強いため、日本ではバルコニーやベランダは南向きのものが好まれます。しかし、みなとみらいエリアでは、同じマンションでも北向きの区画から売れていくことも珍しくありません。
それは、なぜでしょうか?
実は、横浜のみなとみらい地区は、基本的にオーシャンビューが北向きであることが多いのです。昼間は大海原が広がり、夜は横浜の名所ベイブリッジが輝く、そんな羨望の眺望が北側の窓から満喫できるのです。したがって、オーシャンビューに価値を感じる人は、北向き側の区画を購入し、日当たりを重視する人は、南向き選びます。正直なところ、そこに明確な価格差はありません。
つまり、眺望は、不動産の価値を決める一要素でしかなく、総合的な価値は、買う人の価値観によって大きく違うのです。
眺望にも旬がある?
売却を預かる不動産業者の視点でいうと、もちろん眺望が良い物件は嬉しいです。仮に、低層マンションで北向きの区画であったとしても、リビングから満開の桜が見えればその時期の販売はとても楽になります。逆を言えば、同じ区画が真夏だとセミがうるさくて、蚊が発生し、鬱蒼とした葉が茂り、価格要因としては、マイナスに作用します。つまり、眺望にも”旬”があります。
売却の時期と眺望の旬の時期がうまくマッチすれば不動産価格に対してプラスに働くと思います。例えば、東京タワーやスカイツリーなど綺麗なイルミネーションが望めるとします。クリスマスのシーズンなどは眺望による価格のアップの可能性は高いです。同じようなことは、有名な花火大会、春の満開の桜や空気の透き通った冬の富士山などについても言えます。
特定の期間において、眺望は価格アップに至るくらいの印象アップになる可能性は高いと思います。価値のある眺望なのか、そうでないのか。本当の意味で、個人差の大きいものです。その眺望に価値を感じている人はその価格を出してくれることでしょう。逆に眺望に価値を感じなければ、その眺望価格が上乗せされている部屋を割高と思います。最終的には、そこに暮らす家族の価値観、その一言に尽きます。
ここだけの話
今までの個人的な経験を鑑みると眺望による価格アップがあった物件はそれほどないのが実情です。眺望が良い物件は、眺望が悪い物件よりも売りやすい(お客さんが付きやすい)くらいの感覚で、よほど明確な眺望の良し悪しがないのであればなかなか価格には反映されません。