みなさん、こんにちは。
「現役大家FP」の佐野です。
収益物件の価格設定を考えるコラムの最終回(前回までをお読みになっていない方はコチラから)。お宝物件はどこにあるのでしょうか?
ここまで4回に渡り、収益物件の価格の正体を探ってきました。こうして改めて考えてみると、勘のスルドイ方であればすでに一つの結論に達しているのではないかと思います。
そう、それは、
「お宝物件など存在しない」
ということです。
見てきたように物件の価格設定には「それぞれの理由」があります。そうである以上、売主側が決定的なミスでもしない限り、「不相応に価格が安いお宝物件」というのは誕生しないのが道理のはずです。
不動産投資指南本になどによく登場する「お宝物件」は、ほとんどの場合初めからお宝物件だったわけではありません。売主が現状の家賃収入や物件の築年数などからから割り出した物件価格を、その物件が持つポテンシャルと比較して“割安”と判断した買主が購入し、後から改善して家賃収入を上げることで初めて高利回りの「お宝物件」が生まれるのです。
しかしながら、状況が改善できるかどうかはやってみないと分かりません。成功した例ばかりクローズアップされますが、もちろんその影には無数の失敗例もあるでしょう。そのブレ幅(=リスク)をどう捉えるかで本当にお宝物件がその人にとっていいのかどうかの考え方も変わってくるはずです。
どんな世界でもそうだと思いますが、お宝は誰にでも目のつくところに転がっているわけではありません。綿密な調査をして、ここだと思う場所を手間暇かけて掘り出して初めて発見できるものなのです(見つからないかもしれませんが-笑)。
そうした理解もなく、ただ「お宝物件」と騒いでいるだけでは、ただ時間だけが無為に過ぎ去ってしまい、不動産投資の成功もおぼつかなくなってしまうでしょう。
逆の言い方をすれば、なにもお宝物件だけが不動産投資成功の鍵とは限りません。まずは自分の不動産投資の目的を明確にし、それに向かってどういったルートを辿るのか。きちんとした計画さえ立てられれば、あるかどうか分からないお宝物件を待ち続けるよりもよほど確実にゴールに向かえるはずです。
なお、今回お話した建物の構造については、節税効果やアパートローンの組み方にも大きく関わってきますが、その話はまた別の機会にさせていただきます。