みなさん、こんにちは。
「現役大家FP」の佐野です。
収益物件の価格設定を考えるコラムの4回目(前回までをお読みになっていない方はコチラから)。今回は建物の構造が、物件価格にどう影響を与えるかを考えてみたいと思います。
例えば、同じRC造(鉄筋コンクリート造)のマンション同士の価格を比較するのは簡単です。ではこれが、同じ築10年の木造アパートとRC造のマンションだったら? どちらも同じ家賃を稼ぎ出すとしたら両者に同じ値段がつくのでしょうか?
結論から申し上げれば、これは当然RC造のマンションの方が高い値段がつきます。建物としての資産価値がより高いと考えられるからです。
収益物件であれば代表的な構造として木造・軽量鉄骨・重量鉄骨・RC造があり、この順番で寿命が短いと言われています。実際にその物件がどのくらい保つかはメンテナンス等を含め個別に判断しなければなりませんが、寿命が短いということはそれだけ「家賃を稼ぎ出してくれる期間が短い」、言い換えれば「今後見込める家賃収入の総額が少ない」ということになります。そうなると物件価格としてはマイナス査定になってしまうのはある意味当然のことと言えます。
逆に言えば、今の表面利回りが低かったとしても、これから長期間にわたって家賃を稼いでくれるのであれば物件価格は上がるはずです。将来の家賃収入の総額に投資したと考えることができるでしょう。
一般的に言えば、建物の寿命と建築費は正比例の関係にあります。少し乱暴な言い方をすれば「建築費の高い建物ほど長く保つ」ということです。その意味では、「原価法」の要素も入ってきていると言えるのかもしれません。
買主にとっては自分の不動産投資の出口をどう考えるかで物件価格に対する評価も変わってきます。例えば短期的に収益を上げたいのであれば建物が安いほうが効果的ですから、値段が高いRC造のマンションより木造アパート、しかも築年数の古いものが良いかもしれません。反対に長期的なスパンで良い条件の土地を手に入れたいと思うのでれば、現状の利回りにそこまで固執する必要もないはずです。
不動産を売る側としては、自分の物件がどんな人にとってターゲットになる物件なのかをよく吟味すれば、自ずと見当違いの金額設定を避けられるということになります。
さあ、ここまで収益物件の価格設定を考えてきました。次回、いよいよ最終回。お宝物件はどこにあるのでしょうか?