みなさん、こんにちは。
「現役大家FP」の佐野です。
収益物件の価格設定を考えるコラムの3回目(前回までをお読みになっていない方はコチラから)。今回は具体的な数字をあげて、物件の価格を決める過程をみてみましょう。
買主側の立場から考えると、収益物件を選ぶ際にまず気になるのが利回りです。不動産投資の利回りには、年間家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」と年間家賃から固定資産税などの経費を引いた額を物件価格で割った「実質利回り」の二つが存在します。
例えば、売値が2000万円のワンルームがあったとします。
その家賃収入が月額10万円であれば、表面利回りは「120万円÷2000万円=6%」となります。
この部屋が月々1万5千円の管理修繕費と年5万円の固定資産税がかかるとすれば、実質利回りは「(120万円−18万円−5万円)÷2000万円=4.85%」となるわけです。
今度は逆に売主側の立場で考えてみましょう。
あなたが月額10万円の家賃を稼ぎ出すワンルームを売りたいと思った時、どうやって値段をつけるのでしょうか。
まずは競合商品との比較です。あたりを見回した時に表面利回り6%程度で売り出している物件が多ければ、まずは「年間家賃120万円÷6%=2000万円」がスタートになるでしょう。
早めに売ってしまいたければ、表明利回りを7%に設定して「年間家賃120万円÷7%=1714万円」で売り出すこともあるでしょうし、無理に売る必要がなければ利回り5%で「年間家賃120万円÷5%=2400万円」で売却益を狙っても良いわけです。
利回りを比較するという意味では「取引事例比較法」の要素も入っていますが、原則として収益物件はこのような「収益還元法」で売値が設定されるのが原則です。
そう考えると、建築年数の古い物件だとしてもそれなりに家賃収入を維持できていれば物件価格は下がりにくいわけですし、逆にいくら新しくても家賃を稼ぎ出せない物件は高く売れないということになります。このことからも新築マンション投資業者が謳うように「新築だから資産価値が落ちにくい!」とは必ずしも言えないことがわかります。
もちろん、築年数も物件の価格には関わってきます。同じようなエリア・間取り・設備で同じ年間家賃収入がある物件であれば、新しいほうが高い金額がつくのは想像に難くありません。同じ値段であれば誰もが新しい方を購入しようとするでしょう。
さらに注目していただきたいのが、「建物の構造」です。次回、詳しくお話しします。