みなさん、こんにちは。
「現役大家FP」の佐野です。
今回も引き続き、ご自宅を売ろうかどうかお悩みのAさんご夫婦のお話の3回目です。前回までをお読みになってない方はコチラからどうぞ。
さて、今回お話しするのはポイント「その2」です。
注意点②「新しい住居」
次のポイントは新しい住居です。今のご自宅を売ってしまうのであれば、当然新しく住む場所を探さなければなりません。
考え方の一つとしては、「また家を買い直す」という選択肢があります。800万円ほどの売却益が出るのであれば、それを元手にもうワンランク上のマンションを買うことも可能でしょう。
でも、ちょっと待ってください。
この「ワンランク上」とはあくまでも価格の話。マンションのグレードのことではありません。どういうことかお分かりでしょうか?
Aさんのマンションは3年前に比べ2割も値が上がりました。これはAさんのマンションに特別な要因があったわけではなく、いわゆる相場の問題です。
ということは、今度Aさんが買うマンションも3年前に比べて2割程度値が上がっていると考えるほうが自然です。価格的には「ワンランク上」ですが、グレードとしては今の自宅と変わらないという結末が容易に想像できるのです。ご主人が言っていたように、「今が一番高い時」だとしたら高掴みの危険性は高く、それではなんのために苦労して住替えをしたのか分からなくなってしまいます。
それでは、一時的に賃貸住宅に避難をして相場が下がってきたところで新しくマンションを買い直すというプランはどうでしょう。相場の高騰を短期的と考えるのであれば、悪くない方法に思えます。
このプランは次に住宅を購入するまでの家賃をどう考えるかで評価が分かれるでしょう。私はマンションデベロッパーの人が言うように「家賃=捨て金」だとは思いませんが(自分が大家だからかもしれません~笑)、前回の「3年分の家賃が浮いた」という考え方に基づくのであれば、この家賃はもったないような気もします。
さらにライプランという長いスパンで問題を考えるファイナンシャルプランナーとしては、次に組む住宅ローンも気になるところ。
ご夫婦共に若いAさんなので、次の住宅ローンも35年間で組むことはできそうですが、30歳前に始めた現行の住宅ローンと違い今度は退職時期までにローンを払い終わることができません。Aさんご夫婦がこれから得る収入の総額を考えると、次のマンションは今の自宅よりも予算を下げた物件を探さないといけなくなるかもしれないのです。
次に住む家のことを長期的な視点で考えておかないと、今回得た売却益があっという間に消えてしまう可能性は否定できません。それがポイントその2の「新しい住居をどう考えるか」という問題です。
3つ目のポイントは次回にお話しします。