みなさん、こんにちは。
「現役大家FP」の佐野です。
今回は前回に続き、ご自宅を売ろうかどうかお悩みのAさんご夫婦のお話です。前回をお読みになっていない方はコチラからどうぞ。
ご相談にきたAさんご夫婦に私がお話ししたポイントは3つ。まずは一つ目です。
注意点①「売買時のコスト」
最初の論点は「売買時のコストを吸収できるか」です。
家を買ったことがある方ならばよくご存知でしょうが、住宅購入時にかかるお金は家そのものの値段だけではありません。
中古物件であれば不動産業者に支払う仲介手数料(物件価格の3%)がかかりますし、住宅ローンを組むのであれば金融機関に払う手数料、あるいは保証会社への保証料がかかります。その他にも所有権移転登記費用やそのための司法書士への支払いも発生します。
そうしたお金をまとめて「諸費用」と呼んだりしますが、この諸費用は一般的に中古物件なら住宅価格の10%、新築でも5%程度かかると言われています。
また、物件を売る時には不動産会社に仲介手数料を払いますから、こちらも物件価格の3%かかります(Aさんのところに営業に来ている不動産業者の狙いが、この仲介手数料であることは言うまでもありません-笑)。さらに所有権移転登記や抵当権抹消登記もしなくてはなりませんから、総じて売却価格の4%程度の諸費用は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
そう考えると新築でマンションを買ったAさんは購入時の諸費用(4000万×5%)と売却時の諸費用(4800万円×4%)の合計約400万円を負担することになります。800万円の売却益が出たとしても、その半分は売買時の諸費用で消えてしまうことになります。
そのことをご主人様に伝えると少し気落ちした様子だったので、プラスになる点もお伝えしました。
それは新築マンション購入時から現在に至るまでの「家賃」です。
3年前にマンションを購入しなければ、Aさんご夫婦はどこかの賃貸マンションに暮らしていたでしょう。当然その間の家賃はかかりますので、今回購入した金額以上で自宅が売れるのであればその分のコストが軽減できたと考えられます。仮に家賃12万円のところに住んだとすると432万円(12万円×36ヶ月)の家賃を節約できたとすることも可能でしょう。
そう言うと、ご主人様の表情がまた明るくなってきました(笑)。
なお、Aさんのケースでは当てはまりませんでしたが、自宅を売った売却益に対して譲渡所得として課税される場合があります。売却益3000万円までは非課税ですので通常であれば大丈夫だと思いますが、この3000万円の特別控除は3年に一度しか使えないなどの要件がいくつかありますので注意が必要です。
2つ目のポイントは次回にお話しします。