こんにちは!
「幸せと笑顔を最大に!」遺言・相続コンサルタント/行政書士の坂井宏爾です。
前回の記事で親(夫婦)、子(2人ともに結婚)、孫(それぞれに2人ずつ)の三代の相続を説明しました。
孫のA・B・C・Dの4人がそれぞれ4分の1ずつの持分を持っているとしましょう。
では、その状態でどんな不都合が生じるのでしょうか?
□だれかが、建物に住む
亡くなった親の家にAが、住もうとした場合に、兄弟のBだけでなく、いとこのC・Dとも話し合いをして合意しなければならない。
□建物を建て替えて新居をつくる
Aが、建物を建て替えて新居を作りたいと考えた場合、兄弟のBだけでなく、いとこのC・Dとも話し合いをして合意しなければならない。
□不動産を売る
Aが、不動産を売りたいと考えた場合、兄弟のBだけでなく、いとこのC・Dとも話し合いをして合意しなければならない。
☆合意しないものがいた場合、持分を売ることは法律上可能ですが、実際に売買に至るケースは少ない。また、売ることができたとしても相場に比べて格段に安い価格でしか売ることができない。
☆売買金額がある程度見込める場合は、売ったお金を等分に分配する前提で全員の合意に至るケースもありうるが、土地の価値が低く古家付きで古家の解体費用がかかるケースやがけ地にある土地で擁壁の改修が必要なケースなど売るまでにかかる費用がかかるケースは全員の合意が得られないケースが多い。
(地方の場合、空き家を自治体に寄付をしようとしても価値が低い場合、断られるケースもある。)
いずれにしても、共有状態は融通がきかず好ましい状態ではないのです。
共有状態を解消するためには、持分の放棄をしてもらうか、持分を売ってもらわなければなりません。共有者との関係性もありますが、不動産にある程度価値がある場合は、無償で放棄してもらうということはなかなか考えにくいものです。また、建物を建て直そうとしたときに、持分を買い取る余力があればよいのですが、余力がない場合はどうにもならなくなってしまいます。
さらに、共有者の所在が分からない場合は、話し合いすら出来なくなってしまいます。
ひ孫の代まで放置していたとしたら、共有関係の整理するのは至難の業だと思いませんか?
このような混乱を孫子の代まで残さない第一歩は、きちんとした遺言を作り不動産の共有状態を作らないことなのです。
もちろん私たちのような専門家のところには、上記のような状態になってから話が来ることが多いのですが、その前にやるべきことをきちっとやっておけば時間も費用も節約できるのです。
と、ここまで書いておきながら共有をすすめたいケースがあるのでそのことに関しては次回考えてみたいと思います。