こんにちは!
「幸せと笑顔を最大に!」遺言・相続コンサルタント/行政書士の坂井宏爾です。
先月「節税養子判決」が最高裁で出ました。ご存知の方もいるかもしれませんが、誤解を恐れず要点だけをまとめると「相続税の節税が目的であっても、養親、養子双方に養子縁組をする意図があれば、養子縁組は成立する。」といった判断を最高裁がしたということです。節税養子に関して、最高裁が判断を初めて示したということで注目を集めた判決だったのです。
資産家の方などは節税目的で養子縁組をするケースは以前からありましたが、最高裁まで争ったケースが今までなかったということでしょう。
今回、争われたケースは、長男(B)が息子(X)を父親(A)の養子にしたことに対し、長女(C)、次女(D)が養子縁組は無効であると争ったものです。さらに、長男(B)と生前の父親(A)との関係が悪化し、長男の息子(X)との離縁を画策していたという事情もあるようです。
相続人が、一人増えることで、一人あたりの相続分が減るということで揉めたと考えられます。法定相続分で考えた場合、相続財産が仮に1億円だったとすると、相続人が3人の場合は、約3333万円、相続人が4人になると2500万円。約888万円減ることになります。これは、やはり最高裁まで争わない場合であっても、相続人の間にシコリが残るというものです。(このような揉め事は相続財産の多寡にかかわりありません。というより少ない財産で揉めることの方が多いです。)
では、このような揉め事がおこらないようにするためにはどのようにすればよかったのでしょうか?
一番簡単な方法は、家族(相続人)で、常にコミュニケーションをとっておくことです。
これが、節税云々の前に一番大切な相続対策になるわけです。あたり前のことですが、長男(B)が、息子(X)と父親(A)の養子縁組をするときに、長女(C)と次女(D)と話し合いをきちっとしていれば、最高裁までもめるようなことはなかった可能性が高いのではないでしょうか?
もっとも、養子縁組後の事情の変化があれば、揉める可能性は0(ゼロ)ではありません。
次回は、父親(A)亡くなる前にしておくべきことを相続コンサルタントの立場から考察してみたいと思います。