友人がとある新築マンションを買おうかどうか迷っていました。
そのマンションは駅やスーパーが近く、通勤通学をする人で終日賑わっているエリアです。
ディベロッパーもまずまず評判のいい業者で、モデルルームの写真を見る限り内装のセンスも悪くない。
広さや設備の割にはお値段も高いということはありません。
特に悩む必要はないんじゃないの? 買っちゃえば?
とワタシは思ったのですが、よくよく聞くとそのマンションは定期借地権付きだったそうです。
定期借地権とは何かというと、一定期間地主から土地を借りて使う権利のことです。
事業用定期借地権や建物譲渡特約付借地権などありますが、マンションが建つような土地は一般定期借地権になります。これは貸す期間が50年以上と長いのが特徴。
定期借地権付きマンションのメリットとしては、土地代がかからないので安く済むことです。道理で件の友人のマンションは安く感じたハズです。
土地を所有していないということはその分固定資産税も安いというわけで、マンションを買うのも維持するのも費用が抑えられます。
ただし、デメリットもあります。
契約の存続期間が過ぎたら更地にして地主に返還しなくてはいけないため、期限が来たらそのマンションには住めなくなることです。
自分達は存続期間まで住み続けるつもりがないから大丈夫。引っ越すときにはマンションを売っちゃうから。
などと考えていたら要注意。
仮にマンションを買ったときに存続期間が60年だとして、40年経って売ろうとしたところでなかなか売れるものではありません。
あと20年しか住めない古いマンションなんて、35年ローンを組んで買う人はいませんからね。安く買い叩かれるのは火を見るよりも明らかです。
そして、いくら土地代がかからないから安いといっても、借りるための地代はかかるし、最後にマンションを解体するための費用は積み立てなきゃいけない。
低地借地権付きマンションだからといってトータルで劇的に安くなるわけでもないし、数十年後には追い出されるし、いいことなんかないように見えます。
だから、定期借地権付きマンションは避ける人も多いです。
ただし、件の友人には迷っているマンションを買うことをオススメしておきました。
まず、そのマンションが新築で、更地にするまではあと60年あること。
年齢的に60年後なんて生きているかどうかすらビミョーなところです。
子や孫に土地家屋を残したいということでなく、自分達夫婦が住み切ればOKというなら全然問題ないわけです。
そして、築年数が古くなった時にマンションを建て替えるかどうかで揉めなくても済むということ。
どうせ60年後には解体するマンションですから、築50年を機に建て替えましょうなんて話にはならないハズ。
もちろん修繕費用はかかるけど、それはマンションでも戸建てでも同じように払わなきゃいけないものですしね。
更に、そのマンションの立地からして古くなっても需要が見込まれそうなこと。
残り10年で解体するマンションでも、学生さんや出向者など短期的に住む人にとっては何の問題もありません。例のマンションはそういう人達を相手に貸すことが充分可能な立地でした。
というように、自分達の条件に上手くハマるマンションなら定期借地権付きでも買っていいと思いますよ。
それにしても、地主は50年とか60年単位で土地を貸すとか長期的な収入があっていいなあ。
35年ローンでひーひー言っているワタシには考えられない世界です。