① ②
ボルテックス 人事統括部 人事部長 金井 勇一氏 撮影=リビンマガジンBiz編集部
―不動産業界の慣習のままでは、本当の企業成長は難しいと考えていますか。
そのとおりです。
当社は、毎週水曜日はノー残業デーです。私が入社する前からの施策ですが、担当者が優秀で、きっちり毎週案内を流して、社内を回って声がけしています。ノー残業しない場合も人事に報告してもらい、振替日を設定しています。
あわせて、月に1回ノー残業デーの日にピザパーティを開催しています。
いろんな社員が一同に会します。仕事が好きな社員もいますが、隣でピザパーティが開かれていると、ついつい顔を出したいものなんですよ(笑)。そこで社員同士の新しい交流が生まれるなど、良い効果が現れています。
取材後にボルテックスのピザパーティに参加した。
ピザパーティの様子 撮影=リビンマガジンBiz編集部
水曜日18時、ボルテックスのカフェルームには50名以上が集まり、役職や部署の垣根を越えて社員同士が交流していた。20代のブランドマネジメントを担当する女性社員は「普段接点がない人とコミュニケーションを取れる。同じ会社でも知らないことがたくさんあり、とても良いことだと思う」と語った。
幅広い役職・職種の社員が一堂に会していた 撮影=リビンマガジンBiz編集部
―金井部長は中途入社なので、役員から反対の意見もある。それでも改革を進められる要因は何なのでしょうか。
経営者の理解が大きな部分です。
宮沢は、基本的にディスカッションには寛容です。その際には、オブジェクション(異論・反対)があっても良いだろうという許容もあります。
普段はあまり笑ったり、愛嬌をふりまいたりする人ではありません。
しかし、近くで触れる機会があると非常に優しさを感じるんですね。
つい最近ですが、当社で初めてフットサル大会を行いました。
社長をはじめ、役員や統括部長なども混ざったのですが非常に盛り上がりました。
宮沢からも「定期的にやりたい」と言われました。実はこういった催しが非常に好きな方なんですね。
不動産会社はどうやってロイヤリティを生み出すのか
―不動産会社の世間一般のイメージはあまり良くありませんね。
今、世間ではレピュテーション(評判・風評)リスクが大きくなっています。当社も昨日より今日で、ひたすら成長することだけを目指していたら「100人採用したら、100人退職しても、また100人採用すれば良い」という考え方でよいでしょう。
でも、お客様が100年間続く企業になることをお手伝いするならば、我々もまた100年持続していかなればいけない。
だから、私は「雇用責任」があると言っています。
雇用というのは社員や家族の人生が大きく関わっています。当社はお客様だけでなく、社員にも大きな責務を負っているのです。
―優秀な営業社員ほど転職する業界です。経営者のカリスマくらいしか、人を引きつけるものがないのかもしれません。
そこで、当社は「1社でも多くの100年企業の創出」という考え方を、1つのロイヤリティにしたいと思っています。株式会社において大事なことは、ステークホルダーに対して有益かどうかです。我々の理念の中には、日本を元気にするという考えもあります。これに本当に注力していることが、会社内外から見られると求心力が生まれるのではないかと思っています。
―今後取り組んでいく重要な課題はあるのでしょうか。
「チャレンジする風土」を具体的な形にしたいと思っています。
社内エージェント制や、社内ベンチャーなどを制度化したいと思っています。
宮沢も、人材輩出型企業を目指しており、「ボルテックスでは優秀な人材が育つ」ということを伝えていきたいと考えています。その一助を、人事部も担いたいと思っています。前向きに、ボルテックスから巣立って行く人材をたくさん増やしたいと思っています。