不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。
今回は、管理会社の業務効率化・コスト削減を実現する「GMO賃貸DX」を提供するGMO ReTech(東京・渋谷区)の鈴木明人社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
―提供しているサービスについて教えてください。
当社が提供している「GMO賃貸DX」は、管理会社の業務効率化やコスト削減を目的としたサービスです。
2020年12月24日に、オーナーアプリをリリースしました。管理会社とオーナーのチャットによるコミュニケーション機能や電子契約、契約された契約書のファイルやレントロール情報の補完、どの保証会社をつかっているか、修繕情報など様々な機能を全てスマホアプリに集約しました。
オーナーアプリを活用することによって、管理会社の紙やコストの削減が可能です。
毎月の収支報告書送付のオンライン化や修繕・清掃完了報告のチャット完結ができ、管理会社も複数のオーナーとのやりとりが簡単になります。
また、アプリにはワークフロー機能があり、管理会社からオーナーに対して承認を取るといったことも可能です。
―オーナーアプリが、管理会社のペーパーレスや業務改善に繋がっている。
例えば、オーナーへ月次の収支報告書を郵送すれば、1通につき100円程度かかります。1万人のオーナーに送れば、それだけで毎月100万円です。それがオンラインになれば年間で1,000万円以上のコスト削減です。
また、賃貸借契約を取り交わす際にも、オーナーや入居者、保証人とのやりとりで、少なくとも6回程度の郵送が発生します。全てレターパックを使えば、1契約で2,000円以上の費用が発生しています。
管理会社は、更新の対応なども含めて年間で管理戸数の7割程度で、こういった契約書のやりとりを行っています。管理戸数が1万戸あれば7,000件の契約です。それらに2,000円が発生しているならば、とても大きなコストです。「GMO賃貸DX」の電子契約ならば、1契約を100円で済ませることでき、オーナーや入居者などと同時に瞬時に完結でき、管理画面でステータスも分かります。
「GMO賃貸DX」 画像提供=GMO ReTech
管理会社からすればDX化による大きなコスト削減、労働力の削減に繋がります。オーナーにとっても全てのデータがスマホに収まっていれば、現状の把握が楽になります。確定申告に必要なファイルも自動で抽出して、税理士に送れるようになっています。
2021年春までにはブラウザ版でのサービスリリースを予定しており、スマホアプリを使えないオーナーにも使っていただけるようになります。
―入居者アプリの提供も予定されていますね。
入居者アプリは、2021年1月末にリリース予定です。
管理会社とのチャットによるコミュニケーションに加え、入居の際の電子契約、入居の初期費用や家賃の電子決済機能などをアプリで提供します。
当社の調べによると、入居者から管理会社へ連絡については、約4割が緊急性の高い要件で、残りの約6割はそこまで急ぐ内容ではありませんでした。
管理会社は入居者自身も急いでない要件に労力を割いていて、なかにはコールセンターを設けているところもあります。そういった入居者とのやりとりを入居者アプリで簡略化することでコスト削減できると考えています。
その他にも、入金確認や未入金連絡の自動化、車庫証明や駐輪場の申請なども、今後アプリでできる機能を追加していきます。管理会社の業務をオンライン化することを助けていきます。
入居者からしてもアプリによって賃貸借契約の電子契約やIT重説ができ、契約情報や設備情報が一元化することができますね。
入居者アプリは、入居者のロイヤルティ(満足度)を高めて、住み続けてもらうことを目的としています。引っ越す際も、また同じ管理会社の物件に引っ越すような相談ができる住み替え物件案内機能もあります。
―「GMO賃貸DX」の電子契約やオーナー・入居者アプリ、電子決済といった機能を個別に見ていけば、既に競合となるサービスがあります。そういったサービスとの差別化ポイントはどういったものなのでしょうか。
ひとつは様々な機能を横断的に提供している部分ですね。
また、GMOグループのサービスを組みあわせて低価格で提供できる点も強みです。例えば電子決済という分野において、日本で一番利用されているサービスはGMOペイメントゲートウェイ(東京・渋谷区)です。また、電子契約もGMOグローバルサインHD(東京・渋谷区)が高いシェアを持っています。こういったインフラ回りのサービスをグループ価格で安く提供することができます。
そして、当社の開発体制も差別化ポイントですね。現在、70名以上のエンジニアがこのアプリだけを開発しています。サービス改善のスピードも圧倒的に早いです。
「GMO賃貸DX」と同じ領域で先行しているサービスはありますが、まだまだ市場は埋まっていません。詳細な調査は実施できていませんが、私の推定では、オーナーアプリの普及率は5%、入居者アプリは10%程度だと考えています。
-管理会社の理解はあるのでしょうか。無駄な業務を作らないために、オーナーや入居者とのコミュニケーションを避けたい管理会社も多いのではないでしょうか。
正直に言えば、あると思います。
しかし、コロナ禍によってマインドが変わってきているのではないでしょうか。
これまで、管理会社はオーナーのもとへ訪問するというKPIがあったと思います。しかし、コロナによって会えなくなった。オーナーアプリも入居者アプリも、会えないという状況においては非常にニーズが高まってきていると感じています。管理会社とのアポイントも非常に取りやすい状況です。
「GMO賃貸DX」に関しては、電子契約も含めコロナが追い風になっていますね。脱ハンコといった動きも活発になり、電子決済においても関心が高まってきています。
不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。
今回は、管理会社の業務効率化・コスト削減を実現する「GMO賃貸DX」を提供するGMO ReTech(東京・渋谷区)の鈴木明人社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
―提供しているサービスについて教えてください。
当社が提供している「GMO賃貸DX」は、管理会社の業務効率化やコスト削減を目的としたサービスです。
2020年12月24日に、オーナーアプリをリリースしました。管理会社とオーナーのチャットによるコミュニケーション機能や電子契約、契約された契約書のファイルやレントロール情報の補完、どの保証会社をつかっているか、修繕情報など様々な機能を全てスマホアプリに集約しました。
オーナーアプリを活用することによって、管理会社の紙やコストの削減が可能です。
毎月の収支報告書送付のオンライン化や修繕・清掃完了報告のチャット完結ができ、管理会社も複数のオーナーとのやりとりが簡単になります。
また、アプリにはワークフロー機能があり、管理会社からオーナーに対して承認を取るといったことも可能です。
―オーナーアプリが、管理会社のペーパーレスや業務改善に繋がっている。
例えば、オーナーへ月次の収支報告書を郵送すれば、1通につき100円程度かかります。1万人のオーナーに送れば、それだけで毎月100万円です。それがオンラインになれば年間で1,000万円以上のコスト削減です。
また、賃貸借契約を取り交わす際にも、オーナーや入居者、保証人とのやりとりで、少なくとも6回程度の郵送が発生します。全てレターパックを使えば、1契約で2,000円以上の費用が発生しています。
管理会社は、更新の対応なども含めて年間で管理戸数の7割程度で、こういった契約書のやりとりを行っています。管理戸数が1万戸あれば7,000件の契約です。それらに2,000円が発生しているならば、とても大きなコストです。「GMO賃貸DX」の電子契約ならば、1契約を100円で済ませることでき、オーナーや入居者などと同時に瞬時に完結でき、管理画面でステータスも分かります。
「GMO賃貸DX」 画像提供=GMO ReTech
管理会社からすればDX化による大きなコスト削減、労働力の削減に繋がります。オーナーにとっても全てのデータがスマホに収まっていれば、現状の把握が楽になります。確定申告に必要なファイルも自動で抽出して、税理士に送れるようになっています。
2021年春までにはブラウザ版でのサービスリリースを予定しており、スマホアプリを使えないオーナーにも使っていただけるようになります。
―入居者アプリの提供も予定されていますね。
入居者アプリは、2021年1月末にリリース予定です。
管理会社とのチャットによるコミュニケーションに加え、入居の際の電子契約、入居の初期費用や家賃の電子決済機能などをアプリで提供します。
当社の調べによると、入居者から管理会社へ連絡については、約4割が緊急性の高い要件で、残りの約6割はそこまで急ぐ内容ではありませんでした。
管理会社は入居者自身も急いでない要件に労力を割いていて、なかにはコールセンターを設けているところもあります。そういった入居者とのやりとりを入居者アプリで簡略化することでコスト削減できると考えています。
その他にも、入金確認や未入金連絡の自動化、車庫証明や駐輪場の申請なども、今後アプリでできる機能を追加していきます。管理会社の業務をオンライン化することを助けていきます。
入居者からしてもアプリによって賃貸借契約の電子契約やIT重説ができ、契約情報や設備情報が一元化することができますね。
入居者アプリは、入居者のロイヤルティ(満足度)を高めて、住み続けてもらうことを目的としています。引っ越す際も、また同じ管理会社の物件に引っ越すような相談ができる住み替え物件案内機能もあります。