不動産テック×ステイホーム

遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。

不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。

新型コロナによって、自宅で過ごす日々が続くが、こうした時期だからこそ楽しみながら、新しい知見や発想を取り入れたいもの。不動産テックカンパニーを率いる経営トップにテック脳を刺激するエンタメを聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=PIXABAY

タンブルバー・茅野智路社長

■書名:『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

■著者:アダム グラント

■監訳:楠木 建

■出版:三笠書房

■定価:1,980円+税

新サービスの構想を考えているなかで、『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』が印象的な書籍でした。

この本では、人間を「ギバー」「テイカー」「マッチャー」という3つのタイプに分け、世の中の仕組みを分析しています。「ギバー」は無償の愛のような人に惜しみなく与える人、「テイカー」は奪うだけの真っ先に自分の利益を優先させる人、「マッチャー」は損得のバランスを考える人です。

一番印象に残ったのは、「人は、年間100時間無償の愛を誰かに注ぐと、与えた側が気持ちよくなる」という研究結果です。

人間には、走ると気持ちよくなる「ランニング・ハイ」と同じように、「ヘルターズ・ハイ」というものがあるそうです。人を助けると、助けた側も満足度・自己肯定度が満たされる。それを年間100時間行うと、さらに満たされるというのです。

そう考えると、例えば口コミサイトにレビューを書く人やボランティア活動など、見返りを求めずにやっている人がいます。

こういった人の動きを、新サービスに取り入れられないかと思っています。

今回の新型コロナウイルスや大きな災害が発生したとき、「人を助けたい」「サポートしたい」と思っている人は多い。しかし、提供する場がなく、何かしたいと思っていても実現することが難しかった。そういったことを提供できる場を作り、見返りを求めず「ありがとう」と言われる活動できるサービスができるのではないかと考えています。

PID・嶋田史郎社長

■書名:『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』

■著者:戸部良、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎

■出版:中公文庫

■定価:762円+税

私自身が、企業を経営しているなかで、組織で悩んだときに読み返している本です。

『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』は、経営学の教授が、日本軍が敗戦した原因を組織論や戦略論に基づいて考察し、何がどう間違っていたかを考察しています。

例えば、敗戦した原因のひとつとして、計画や現実の分析が正確に行われていなかったことが挙げられています。上級将校が物事を楽観視していて、正確に現状を捉えていなかった。敵を過小評価して、下級士官からの報告を正確に理解できていませんでした。自身の思い込みや、過去の成功体験があり、上級将校が戦ったときの戦場のイメージで物事を考えていたからです。

我々が日々行っている部下や同僚とのコミュニケーションでも同じようなことがあります。

今の話なのに、10年前20年前の感覚値で捉えていないか。過去の成功体験に引きずられていないか。と自問しています。

コミュニケーションの方法や、なぜそういったことが起きてしまうのか。組織論として企業経営に落とし込んで読むと面白いですね。

リマール・エステート・赤木正幸社長

■映画名:『エスター』

■国:アメリカ

■監督:ジャウム・コレット=セラ 

■公開年:2009年

■ジャンル:ホラー

当社も在宅勤務を行っていますが「何か面白い映画ない?」といった話題ではホラー・サスペンス映画の『エスター』をすすめています。

ある夫婦が、孤児院から少女を引き取って、一緒に暮らしていくなかで、徐々に少女の恐ろしい本性が見えてくるという話です。

この作品では、「先入観にとらわれてはいけない」ということを強く感じました。結果を知ってから思い起こすと、「そういう兆候があったかもね。でもそのときには気付かなかった」という、目先の日々流れていく事象にとらわれて、本当に大切な本質を見逃してしまうという典型的なエスプリ作品です。

不動産業界も同じです。目の前のことに忙殺されて、目先のことばかり見ていたら、顧客が求めている本質を見落としてしまっている。

あまり、ネタバレしても面白くないので、前情報なしで見て欲しいですね。

スペースリー・森田博和社長

■ドラマ名:『エレクトリック・ドリームズ』

■国:アメリカ・イギリス共同製作

■公開年:2017年

■ジャンル:SF

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などのSF作品で有名な、フィリップ・K・ディックの短編集が原作で、毎話AIや自動化、VRといったテクノロジーが取り上げられるオムニバス形式のドラマです。

テクノロジーのゆく末や人の倫理観、テクノロジーが与える社会への影響といったせめぎ合いが描かれています。科学が進みすぎると、「そもそも人の存在とは何か」という問いが出てくるのですが、当社がVRサービスを提供している側として、とても考えさせられる部分です。

技術を使う人の倫理観や、人側に求められることがいかに大切か。原作は、40年以上前の作品ですが示唆や洞察は凄いですね。

テクノロジーの提供側として、ライフスタイルや人への影響や技術をいかに使うのか、どういう風に使えるようにしてあげるのか、何のための技術なのかを、改めて考えさせられた作品です。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ