遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。
今回は、不動産仲介担当者の次世代型マッチングサービスを作ったトリビュート・田中稔眞社長話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
トリビュート・田中稔眞社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部
―サービスの概要を教えてください。
当社が提供している「TRG(トラジ)」は、不動産営業の業務支援アプリです。
大きくわけて4つの機能があります。
1つ目は、不動産の営業担当者を検索できる機能とマッチングする機能です。自身が繋がりたいと思う得意分野やニーズを持っている営業担当者を検索して、マッチングすることができます。
2つ目は、チャット機能です。繋がった営業担当者との1対1のチャットや、グループ機能を使って、仕入担当と売り担当なども参加するグループチャットが可能です。また、物件ごとにチャットを管理することができます。
3つ目は、物件情報の自動マッチング機能です。これは、顧客が希望している物件の情報を登録することで、「TRG」に記録されている物件情報のなかから自動で条件に合った物件が紹介されるというものです。
4つ目は、物件資料の自動生成機能です。これは、AI-OCR(AIを取り入れた光学的文字認識)技術を使ったもので、紙の書類を自動でデータ化することができます。
TRGのサービススキーム 画像提供=トリビュート
―マッチングやコミュニケーション機能によって、営業担当者同士が繋がることでどんな効果があるのでしょう。
不動産事業者同士の情報交換は、まだまだFAXや電話でのやりとりが主流です。特に地方では、名刺にメールアドレスの記載すらない会社も多く、営業担当者同士が積極的に繋がることは難しい状況があります。
例えば、不動産売買が成約するケースで、地方の物件を首都圏の投資家が買うという取引があったとします。地方の物件情報は地場の不動産事業者が持っていて、購入する投資家や富裕層を抱えているのは都心や首都圏の不動産事業者です。これは非常に手間がかかります。
当社でも、不動産事業を行っていますが、地方の物件が欲しいという投資家がいた場合は、現地に出向いて、情報収集しなければなりませんでした。
「TRG」を使って地場の事業者と繋がることができれば、時間や場所に縛られずに、PDFデータで物件資料を送付して、商談を進めることが可能になります。
ご自身の営業エリアに選定して、営業担当者とのアポイントの調整から物件情報の収集、商談まで稼働をかけずに行えるようになりますので、電話営業や飛び込みで新規の開拓をしていくよりも、圧倒的に手間が少なく、相手とのハードルも低く、親和性のある担当者と楽に繋がることができます。
また、営業担当者の身体的な負担も大きく減るため、アナログで働きにくい業界のイメージも大きく変わってきます。
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