2019年11月21日、都内で(一社)不動産テック協会1周年記念イベントが開催された。
設立から1年経った不動産テック協会の活動報告の他にも、同協会の顧問を務めるエスクロー・エージェント・ジャパン(以下:EAJ・東京・千代田区)・本間英明社長、不動産や建設テックのコミュニティーPropTech JAPAN代表のデジタルベースキャピタル(東京・千代田区)・桜井駿代表パートナー、TMI総合法律事務所(東京・港区)・成本治男弁護士による講演も行われた。
今回はその様子を紹介する。
不動産テック協会代表理事の赤木正幸氏(左)PropTech JAPAN代表の桜井駿氏(右)撮影=リビンマガジンBiz編集部
海外で注目されている不動産のテクノロジー
EAJ・本間社長の登壇では、同氏が事務局長を務める国際的な海外流通政策の研究や情報交換を産学連携で行っているJARECO(ジャレコ:一般社団法人日米不動産協力機構)の活動を紹介するとともに、海外でも注目されている不動産テックについて紹介した。
JARECOは、NAR(National Association of Realtors:全米リアルター協会※)の日本窓口だ。NARから日本に対する要請や、日本からNARに対する調整を行っている。
※注=全米リアルター協会:130万人の個人エージェント会員を持つ、アメリカ最大の不動産業団体。国際的な不動産流通促進を目的とし、全世界で57カ国と協約を結んでいる。日本も協約国の1つ。
本間氏に寄ると、NARが注目している不動産テック分野は、
・AI
・ブロックチェーン
・スマートホーム
・VR
の4つだという。
なかでも、AIテクノロジーは、見込み客や自動査定、物件マッチングなど様々なシーンで活用することができる。また、アメリカではAVM(Automatic assessment system)と呼ばれるAIを使った自動査定モデルが画一されつつあるという。
アメリカ版レインズであるMLSがオープン化し、誰でも不動産データベースにアクセスでき、分析できることからAIを使ったサービスが飛躍的に成長している。日米の違いについて紹介した。
不動産トークンの可能性について紹介
TMI総合法律事務所・成本弁護士は、「不動産トークン」が不動産業界にどのような影響を表すのかを紹介した。
最近頻繁に目にする「デジタル証券」、これはブロックチェーン技術を活用して、デジタルに発行される有価証券を指す。「不動産トークン」とは、その不動産版とも言えるもので、不動産の権利を表している権利書や地役権証書などをデジタルにしたものを指す。
ブロックチェーン技術によって高いセキュリティを持ち、トークン化することで流通性が高まるという。既に、アメリカでは「不動産トークン」を活用した不動産ファンドが動き始めており、投資家の注目を集めている。
成本弁護士は、不動産トークン化、権利に関わる情報をデジタル化することのメリットとして、流動性が高まること、コンプライアンス・投資家要件の自動判断、資金調達の容易化などがあると紹介した。
不動産テック協会とPropTech JAPANが提携
イベントの最後に、不動産テック協会の赤木正幸代表理事から、不動産テック協会とPropTech JAPANの提携が発表された。
PropTech JAPAN・櫻井氏は「PropTech JAPANは任意の団体のため、各業界団体などへの踏み込んだ活動が難しかった。不動産のイノベーションを推進するという同じ目的がある不動産テック協会と提携することで、相互の強みを活かして不動産×テクノロジーのさらなる推進を目指していきたい」と語った。
今後は相互に送客しあうなど、積極的に連携していく予定だ。