遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。
今回は、不動産テックに関連した書籍や映画、ドラマなどを紹介する。(リビンマガジンBiz編集部)
その予言性に震えるSF小説の泰斗が記した不動産テック
「ドアで鍵をまわす音がした。エヌ氏が勤めを終え、帰宅したのだ。(略)静まり返っていた部屋が、声を出して出迎えた。<おかえりなさいませ。さぞお疲れでございましょう。プーポ印のワインを買ってお帰りでしょうか。ワインはプーポ印に限ります。舌からのどへかけて、素晴らしい感触で刺激し、それとともに、夢の様な酔心地へとあなたをおさそいいたします……>」
星新一の短編SF小説「住宅問題」(『妄想銀行』・新潮社)はタワーマンションの一室が舞台だ。
主人公エヌ氏はここに一人暮らし。家賃は何と無料だ。
その替わり、部屋にいる間もひっきりなしに広告やコマーシャルが流れる。
そうスポンサー料によって家賃がまかなわれる近未来を描いているのだ。
「OYO LIFE」勝瀬博則CEOは賃貸住宅ビジネスでは入居後にも商機があると考えている。
ほとんどの人は1日8時間以上を家で過ごします。過ごすといっても、実際はほとんど寝ているだけかもしれません。しかし、その8時間のうち20時~23時はEコマースのゴールデンタイムと言われています。業務時間や同僚との食事中に買い物をする人ほぼはいません。帰宅して部屋の中で購入しているのです。
なぜAmazonがスマートスピーカーを提供しているのか。それは、売買が家の中で行われているからです。普通の不動産会社は、貸している家の中で消費行動が起きていたとしても稼ぐことができません。これってもったいない。コンビニよりも便利な購買サービスとしてEコマースが出てきました。今では、家の中が究極のショッピングプレイスなのです。
星新一が予言した未来は、そう遠くないうちに当たり前になるだろう。