さくら事務所 優良中古マンション専用サイト「BORDER5」発表
左から:さくら事務所・大西倫加社長、さくら事務所 マンション管理コンサルタント・土屋輝之氏、ノンフィクション作家・山岡淳一郎、さくら事務所・長嶋修会長 撮影=リビンマガジンBiz編集部
2019年7月にβ版が公開された「BORDER5(ボーダーファイブ)」は、「中古マンションのなかでも上位5%しか存在しない」(さくら)という管理良好な中古マンションを掲載するサイトだ。
ホームインスペクションのさくら事務所(東京・渋谷区)が運営し、独自の診断基準に基づいてマンションを評価する。
今回は、2019年9月に行われた記者発表会「管理力の見える化プロジェクト【BORDER5】について」の様子を紹介する。(リビンマガジンBiz編集部)
「マンション管理に関するコンサルティング相談が直近3年で大きく増えている」と語るのは、さくら事務所・大西倫加社長だ。
マンション管理における大規模修繕や修繕積立金の不足、廃墟やスラム化といった課題が、一般のメディアでも頻繁に報道され、危機感を持つマンション所有者が増えている。マンション老朽化とマンション所有者の高齢化が深刻な問題になっている。
他方、マンション管理の問題は、購入者に対しても同様に存在する。
「マンションは管理を買え」という言葉は20年以上前からある。しかし、管理組合の運営状況は、購入検討者にとってブラックボックスだった。どのような運営が行われ、どれぐらいの資金があり、どういう建物の維持管理が行われているのか、といったことが外部からほとんど見えない状況だ。
こういった状況に関して、国交省や各自治体も危機感を問題視していて、東京都は全国で初めて管理状況の届出を義務化する制度を2020年に施行する。
徐々に進み始めているマンション管理の整備だが、現時点では何を持ってマンション管理の善し悪しを決めるのか、判断基準がない。
こうした問題を受け、同社はマンションの管理運営力を見える化するサイト「BORDER5」をオープンしたという。
同サービスは、中古マンションの購入希望者が管理組合の状況を知ることができ、アドバイスをもとにマンションを購入するというものだ。一方で、マンションの売主は、管理組合の運営力をアピールして売ることができる。
マンション管理組合は、自らの組合運営力を向上させるために専門家からアドバイスを受けつつ、「BORDER5」への掲載を目指す。マンションの診断は「組合運営力」「メンテナンス&資金力」「コミュニティ&住み心地力」「防災力」の4つの指標を20項目に分けて評価される。
物件の掲載は無料、「BORDER5」の評価基準や評価方法はオープンプラットフォームとして公開している。マンション管理士会に所属しマンション管理士賠償責任保険に加盟しているマンション管理士なら誰でもマンションを診断することができる。
大西社長が挙げた課題として、マンションの管理運営力や建物のコンディションが融資価値に連動していない、という点がある。
同じ立地で、似たような規格・間取りのマンションが2つあった場合、Aマンションは非常に管理組合の運営能力があり大規模修繕の資金にも心配がない、Bマンションは大規模修繕金がままならずローンを組んで修繕しなければならないとなった場合でも、2つのマンションは同じ価格で市場に出てる。マンションの管理能力が市場や融資では評価されないのだ。
一方、アメリカでは欧米版のレインズである「MLS」によってマンションの管理状況も登録して売りに出すことが義務化されている。マンション管理組合の管理状況を見ることができ、管理状況が著しく悪い場合は融資価値と連動している。
大西社長によると、今後は、購入リクエストや融資価値との連動、マンションのブランディングなども行っていくという。