―周辺の不動産テック企業でも、ワンストップで賃貸契約が完結するサービスに注目が集まっていますね。
今までは、一連の業務のうち一つだけを効率化するサービスが多かった。内見の部分だけ、重説だけ、支払いだけのサービスですね。
効率化を進めていけば、すべてを完結させるサービスがこれからのトレンドになると思います。
―「LEASE24」を導入するにあたり、オーナーや管理会社はどういった費用が発生するのでしょうか。
最初にIoT機器を購入いただきます。
ただし、定価よりも安く販売していて、我々にマージンは発生しません。例えば、スマートキーの「LINKEY」は、定価が5万円定価です。我々は3万円で販売しています。
スマートキー「LINKEY」 撮影=リビンマガジンBiz
取り付けた機器は、入居後もそのまま使っていただきます。IoT賃貸物件として、入居者に付加価値を提供することができます。既存のドアにスマートキーを設置するだけで、退去時のシリンダー交換も不要です。
また、遠隔で鍵の開閉も可能なので、原状回復のリフォーム会社や仲介会社に鍵を渡す必要もありません。
―ユーザーにとっても貸主にとってもメリットがあるのですね。
私はアットホームに勤めていました。毎日、不動産会社を回り、ファクトシートを届けてました。
元付けから出してもらうファクトシートですが、仲介会社は広告料の部分くらいしか見ていない。特に閑散期は、「取れるところから取る」という姿勢が強かった。そういった商慣習では、貸す側・借りる側に負担が増えます。
―仲介会社によって、ミスマッチが生まれて双方に負担が発生していた。
賃料の1カ月分だけで良いのに、それ以上を稼ごうとしてしまう。だから業界に対するイメージが悪くなっていく。
「LEASE24」は仲介会社を介さないことで、費用削減に繋がっていますから。いま流行の「仲介会社をぶっ壊す!」ではありませんが(笑)。それぐらいの姿勢で開発しています。
また、ずさんな鍵の管理にも問題だと思っています。2019年3月、ワンルームの空き部屋に侵入してベランダ伝いに隣の部屋に入り、空き巣を繰り返していた男が捕まりました。
不動産会社がメーターボックスなどに隠していたキーボックスを使って、空き部屋に入っていたようです。
―不動産会社に「LEASE24」を提案していてネックになる部分はありますか。
初期費用の部分ですね。
ただ、皆さん「いずれこういった部屋探しがスタンダートになる」と考えられているので、前向きに検討いただいています。「部屋を探すためにわざわざ不動産会社に行く」ことがなくなると感じている会社が多いですね。
また、自分たちで集客力を付けたいと感じている管理会社も増えています。これまでは、そういった管理会社をサポートするツールがありませんでした。「LEASE24」は、まさに集客力を付けたい管理会社のためのサービスです。
―ポータル依存といった言葉もあるように、ポータルサイトから抜け出したいと考える不動産会社は多いです。
物件ポータルサイトは、SUUMO一強です。
しかし、そのSUUMOでさえ、そろそろ危ないと感じている人は多いのではないでしょうか。なぜなら「レインズが一般公開される」という機運が高まっているからです。そうなると、ポータルサイトは大きくビジネスモデルを大きく変えざるを得ないでしょう。
ポータル各社は困るでしょうが、レインズの一般公開は業界の健全化に大きく貢献します。だからこそ、各ポータルサイトは新しいビジネスにチャレンジしなければならない時期に差し掛かっていると思います。
「LEASE24」は、オーナーや管理会社の正確な元付け情報と、無人・遠隔での物件案内、契約という部分で、差別化を図っていきます。
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