Re-tech RaaS・田子大輔社長 (撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―「反響倍増くん」の効果はどれほどなのでしょうか。
先日、導入企業の店長と「反響倍増くん」を使ったアルバイトスタッフが対決したのですが、熟練店長の目利きで掲載物件の選別した場合は30%の反響率だったのに対し、「反響倍増くん」をつかったアルバイトの反響率は35%という結果で、アルバイトスタッフが勝ちました。
熟練の店長がいなくても、ロボットで従来以上のお客様の反響が獲れるようになります。
過去の地域性や特性をロボットが分析するので、データが蓄積されていくことで、どんどん精度が上がっていきます。お客様の反響獲得に苦労している小さな仲介店などにも広げていきたいと思っています。
新規で、他社物を取り扱う仲介会社にも有効です。
―「ラクテック」は、小さい規模の会社では導入できないのではないでしょうか。
当然、管理戸数が多い管理会社が、より高い効果を見込めるサービスです。しかし、少ない戸数の規模でも有効だと考えています。
人数の少ない会社は、一人でいろいろな業務を兼務している人が多い。少ない人数で効率良く仕事をさばくニーズはより高いはずです。
ある会社では、在宅リソースやテレワーク、コールセンターなどを利用して業務をしていました。そういったところから、「RPAできないか」というお問い合わせをいただくことも多いですよ。
―Re-tech RaaS社の親会社は、賃貸管理・仲介大手のAMBITIONです。不動産会社が不動産テック企業を立ち上げた理由は何だったのでしょうか。
当社は、2019年7月にAMBITIONとRPAテクノロジーズとの合弁で設立しました。
AMBITIONでも他の管理会社同様、労働集約型のビジネスモデルから脱却しなければいけないという課題があったからです。
3~4年前から、AMBITIONはRPAやOCR技術の活用を検討していました。しかし、当時は技術的に難しかった。当初は、紙の図面を読み取って、その情報をポータルサイトに投稿するシステムを構想していたのですが、なかなかうまくいきませんでした。
Re-tech RaaS・田子大輔社長 (撮影=リビンマガジンBiz編集部)
2018年頃からORCの技術がかなり進歩してきて、AI OCRと呼ばれる文字を読み取るサービスを基盤にして、RPAを活用したシステムを開発しました。トライ&エラーを繰り返しながら、ノウハウ・実績が溜め、外販できるサービスとしてリリースできたのが「ラクテック」です。
―不動産会社発の不動産テックサービスというのは、欧米では一般的ですが、日本では少ない。
競合する不動産会社が親会社だから、当社に依頼すると「情報を盗まれるのではないか」と考えられる会社もいらっしゃいます。でも、それ以上に「効率化になるのなら話を聞いてみたい」「効率化しているモデルがあるのであれば、利用させてほしい」という会社の方が多いですね。
業務をシステム化、効率化できない悩みの方が懸念よりも強いのでしょうね。
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