遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。
今回は、2019年秋に「オーナーズガーデンpro」をリリース予定の、リアンコネクション(東京・千代田区)・織田京太社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
リアンコネクション・織田京太社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―リリース予定のサービスについて教えてください。
2019年秋に不動産事業者に向けて「オーナーズガーデンpro」のリリースを予定しています。
「オーナーズガーデンpro」は、30秒で取引先が見つかるツールです。具体的には、不動産営業担当社員のニーズにマッチした取引先といつでも繋がることができ、すぐにビジネスを開始することができるサービスです。
私は10年以上不動産業界で営業を経験していますが、「不動産ビジネスは横の繋がりが重要」という言葉は、本当にその通りだと感じています。
「オーナーズガーデンpro」には、「物件ニーズ」という機能があり、ユーザーである不動産会社が「○○市で建築条件なしの土地を販売してます」「急募!一都三県の収益マンション買い取ります」「○○区仕入れ強化中」といった内容を投稿します。詳細な物件情報ではなく、あくまでも「仕入れたい物件の希望」や「こういった顧客がいる」というニーズを投稿するのです。
例えば、収益物件の仕入れ営業担当は、自身の希望条件を入力して検索するだけで、条件に沿ったニーズを持っている業者や担当者を見つけることができます。そこから、メッセージ機能を使って連絡を取り合うことで商談を始めることが可能です。
「オーナーズガーデンpro」(画像提供=リアンコネクション)
不動産会社には、毎日「売り物件募集!」「未公開物件情報有り!」といったFAXやメールが送られてきます。たまたまニーズが合い、タイミングが良ければ商談になりますが、なかなか難しいでしょう。また、情報の送信先を増やすためには業者会や交流会に参加して関係性を築かなければなりません。
「オーナーズガーデンpro」は、そういったアナログな方法から、営業社員を解放するツールなのです。
―業者間、営業社員間のニーズをマッチングさせるサービスなのですね。
日本国内における、不動産の売買市場は約43兆円です。
その内訳は、業者同士による未公開物件のやりとりが6割を占めていると言われています。つまり業者間のやりとりだけで約26兆円の市場なのです。いや、もしかすると、もっと大きいかもしれない。それほど業者間の繋がりは重要です。
例えば、同額で購入したいと個人と事業者が希望した場合でも、事業者に売却するケースが一般的です。融資や契約のスピードが全く違いますから。
ここで重要なのは、業者同士が繋がる情報・ニーズの深さです。
業者同士が繋がるシーンは2つあります。
1つ目は、ポータルサイトやレインズなどの事業者向けサイトを介してのアプローチです。
ポータルサイトやレインズから物件を見つけて、「この物件ありますか?」と営業社員同士が知り合います。すでに完全にオンライン化できています。また、現時点で自身が物件を掲載しているか、買主顧客がいるかのどちらかで、ニーズが顕在化しています。こういったやりとりは既に古くから行われています。
2つ目は、「明日、預かる非公開物件があるけれども興味ある?」「良いお客さんいるからどんな物件あるか見せてよ」といった、事前に繋がっておかなければ知り得ない情報のやりとりです。これが、全体の6割を占める市場です。物件が顕在化する前に、取引の前振りができるのですが、その前の時点で知り合っておくことが大前提です。この繋がりは、完全にアナログです。
「オーナーズガーデンpro」が狙っているのはこの営業社員同士の繋がりのオンライン化です。
毎日FAXやメールで送られてくる「物件求む」「○○の物件仕入れました」といった情報は、顕在化していないニーズです。現在物件がなくても、顧客がいなくても、未来に向けて営業担当者が繋がることができるツールです。
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