2019年8月21日、「最新版不動産テックカオスマップ公開イベント」が開催された。(一社)不動産テック協会の主催で、今回で第5版になる「不動産テックカオスマップ」が発表された。イベントの様子とともに最新のカオスマップを紹介する。(リビンマガジンBiz編集部)

会場の様子

イベント開始早々、最新版(第5版)不動産テックカオスマップが公開された。

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今回、カオスマップに盛り込まれたサービスは305にのぼり、2018年11月に発表された第4版の263サービスから、42が新たに加わった。

特に増加したカテゴリとしては、前回41サービスだった「管理業務支援」が50(+9)、前回19サービスだった「スペースシェアリング」が26(+7)、前回10サービスだった「クラウドファンディング」が16(+6)。

イベントに登壇した、不動産テック協会・代表理事の赤木正幸氏は、「管理業務支援」や「仲介業務支援」カテゴリの増加要因として、「アンバンドリング」文化が業界に生まれているからだと紹介した。

不動産テック協会・代表理事 赤木正幸氏 撮影=リビンマガジンBiz編集部

アンバンドリングとは、「分散する」という意味だ。不動産業界では、これまでのように1社で多岐にわたる業務をワンストップで対応するサービスではなく、個別の業務ごとに分業にすることで効率化を模索する企業が増えている。単一のサービスを安く、早く提供するテック企業が増加傾向にあるという。

その他に「クラウドファンディング」カテゴリの増加に関しては、2017年に改正された「不動産特定共同事業法(不特法)」が大きく関連している。

この法律改正により、不動産ファンドの組成や運用可能な範囲が拡大され、金融商品取引法と同様にクラウドファンディングを行うことが可能となった。これまでの金融庁が管轄していた「金融商品取引法」ではなく、国交省への許諾で不動産クラウドファンディングが可能となり、不動産会社によるクラウドファンディング事業が増加した。

NTTデータ経営研究所シニアマネージャー・川戸温志氏 撮影=リビンマガジンBiz編集部

同協会の顧問を務めるNTTデータ経営研究所シニアマネージャー・川戸温志氏は、アメリカの不動産テック事情や、注目サービスに付いて紹介した。

アメリカでは「仲介テック」とも言うよう企業が次々と生まれている。

VR内見やテクノロジーを活用することで業務コストをカットし、仲介手数料をディスカウントすることで顧客に還元するというものだ。

「Purplebricks(パープルブリックス)」というサービスは、顧客に変わって買いたい不動産を即現金で購入するサービスだ。アメリカでは日本よりも不動産購入時の価格交渉がシビアなため、即現金で購入することを条件に物件価格の値引きを行うというサービスだ。値引いた価格の数%がサービス利用料となる。

QUANTUM・井上裕太代表 撮影=リビンマガジンBiz編集部

パネルディスカッションでは、前出の赤木氏・川戸氏に、第1版からカオスマップ制作に関わるQUANTUM・井上裕太代表も加わり、今後のカオスマップの方向性などについてディスカッションが行われた。

赤木氏・川戸氏は「スペースシェアリング」に注目していると語り、井上氏は「リフォーム・リノベーション」カテゴリに入る企業の変化などについて言及した。

イベントには60名を超える参加者が集まった。

不動産事業者やフィンテック関係者、不動産テック事業者など様々で、多方面から不動産テックに対する注目が高まっていることが見て取れた。

 
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