―女性の進学や就職にともなった上京などで、ホームセキュリティのニーズも高まっているのでしょうか。
実際に女子寮や女子大生向けのアパートに導入いただくケースも多いですね。
ある女性向けアパートでは、オーナーが入居者に「leafee」を案内し、半数以上の入居者が導入いただいたケースもあります。
以前、「leafee」を利用いただいている一人暮らしの女性入居者とその家族の方にお会いしたのですが、大学生の娘を持つ家族としては、安心できて良いという話もいただいています。
―実際に住んでいる方以外の家族にも「安心」という価値を提供していると。
そうですね。
先ほど言ったように、戸建ての方も買われています。「防犯ニーズがあるけれども、ホームセキュリティを導入できない人」、つまりは学生や若い夫婦世帯がメインのサービスです。
―そもそも、日本は防犯やホームセキュリティなどの安全にお金を払うという文化が醸成されているのか疑問です。
実は、まだまだ発展途上の市場です。
欧米では、ホームセキュリティサービスは20%程度普及しています。
日本の3%とは、10倍近い差があります。
当然、日本は犯罪が少ないという理由もあるでしょう。
しかし、私はそれだけではないと思います。ホームセキュリティ市場はミネラルウォーター市場と似ていると感じています。
―ミネラルウォーターの市場ですか。
1960年代、日本にセコムができた頃、日本では「水と安全はタダ」という言葉がありました。当時はセコムも成功するのか、懐疑的だったと思います。
そして、「水に金を払う人はいない。ミネラルウォーターなんて売れない」と誰しも考えていましたが、現在では大きな市場になっていますよね。ウォーターサーバーも500万世帯以上に普及しています。水のビジネスも、先に欧米で普及していましたが、現在では日本と同じぐらいに成長しました。
同じように、ホームセキュリティ文化も欧米とは時間差で普及していくだろうと考えています。
―防犯という分野へのサービスを提供するきっかけはどういったものだったのですか。
Stroboは2014年11月、私が東京大学4年生の時に起業しました。
子供の頃から家電製品が好きで、いつかはSONYのような世界的メーカーを作りたいと思っていました。
「デスクワークを快適にするスマートクッション」や、「睡眠の見える化や快適な目覚めを実現するスマートフォン連動型のベッド」などのプロダクトを開発し、次を構想していたときに、妻が「leafee」のきっかけを作ってくれました。
以前までの私は、戸締まりなどにあまり執着していませんでした。
窓を開けっぱなしにして外出することも多かった。そのことで、よく妻に怒られていたんです。
それが「leafee」のきっかけになりました。
戸締まりや防犯といった意識や行動は、地味ですよね。あまり意識していない。でも、毎日必ず行うことです。「日常で使い続けられるIoTプロダクトを作りたい」と考えていたこともあり、防犯に繋がるサービスを作ろうと思いました。