ヘヤクレス・高坂周社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―どういった方がチャットの対応をしているのでしょうか。

ほとんど女性スタッフです。

当初、チャット代行と送客ができるスタッフを増やそうと考えたときに、LINEを使って来店を取るのが得意な人って誰だろうと、考えていました。

そこで思いついたのが夜のお店で働く女性でした。

そういったお仕事の方々はLINEでのコミュニケーションもまめで、人の心を掴むスキルもある。彼女たちの能力を使えば、うまくいくように思ったのです。ホストクラブやキャバクラで働かれている方の動画をYoutubeで見漁りLINEコミュニケーションを学んだこともありました。

―ちょっと思いつかない発想ですね。

私はそういったところで遊ぶのが好きというわけではありませんよ。

今年2月には結婚もしていますので、そこははっきりと言っておきますね(笑)。

しかし、仕事上の付き合いで、顔を出すことがありますよね。

そこで女性と話していると、「華やかな夜の世界に憧れて」という女性ばかりではないんですよね。最近では、一昔前より気軽に夜の仕事を始められるようになった分、好きでやっていない人もいるんですよ。

例えば、自分のやりたいことをするために、稼ぐために割り切って働いている方も結構います。

そこで、「ヘヤクレス」の話をすると、「会社に来なくていいし、自分の好きな時間だけ」で、始めてくれたのですが、やはり凄く成績が良いんです。その方は、今では働いていたお店を辞めて、当社のチャットだけをやっています。断じて引き抜きとかではないです。

「夜の仕事を辞めて、自分のやりたいことに専念できて良かった」と凄く感謝されました。

「ヘヤクレス」は、賃貸仲介会社に向けて価値を提供していくサービスですが、チャット対応で働いてくれる方にも感謝されています。体や場所を拘束されずにできる仕事を提供できているので、そこにも重要な価値を感じています。

そのほかにも、大学生や若い女性が多く中には元々賃貸仲介をしていた主婦で、出産を終えて現場復帰はできないけども、チャットの対応はできるという方にも手伝っていただいています。

―高坂社長は、元々イタンジに在籍されていたと聞きました。

大学在学中にイタンジの前社長である伊藤嘉盛さんと出会いました。

当時、伊藤さんは賃貸の仲介会社を経営していて、私はそこでアルバイトをしていました。接客や内見の案内などの業務を、1年半やりました。

その後、大学を卒業してネットの広告代理店で2年間働きました。これが激務で、週に3日は帰宅できないような状態で、先々を考えていた時に、ちょうど伊藤さんから声がかかりました。

イタンジが3年目のときで、「ウチに来ないか」というお話があり、私もいつかは独立したいと考えていたので、伊藤さんのもとで学べるのは、とても良い機会でした。 イタンジ入社後は、不動産会社へのサービス提案やウェブ広告の営業などで、全国を回っていました。

「ヘヤクレス」に繋がるきっかけもそこで見つけました。

―どういったものでしょう。

今は、賃貸仲介の集客はその多くをポータルサイトに頼っていると思います。

不動産会社の方に「反響ではなく、来店までを仕上げてくれたら、もっとお金を払ってもいいのにな」という声がかなりあったのです。

業務外出しによる効率化のニーズがあるなと感じました。

例えば、賃貸の部屋探しをするとき、まずエリアが大事ですよね。例えば、恵比寿で部屋を探している人は、当然、恵比寿の不動産会社に行きます。

だから、自ずと各エリアに人員を分散して配置しなければならない。仮に1店舗平均で5人としましょう。5人しかいなければ、Aさんは来店までの対応、Bさんは来店客の接客、といった具合に分業ができない。効率化の源泉は分業ですからね。

だから、現場は常に混乱して、疲弊してしまっている。

多岐に渡る仲介業務の1つを来店獲得を外注するためのサービスとして、ポータルから反響が来たあとに来店まで仕上げてくれたら嬉しいという話を聞いたことが「ヘヤクレス」のきっかけです。

―現場の声から生まれたサービスなんですね。

2018年4月に法人化して、本格的に事業を開始したのは2018年11月です。

不動産業の実務とネット広告のことを経験していたことが、サービスを作り込む上で、とても役に立ちました。

「ヘヤクレス」は自社でネット広告を使って集客して、不動産の提案をする。まさにこの2つをかけ合わせたサービスです。

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