遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。

今回は、チャットなどのコミュニケーションツールを使った来店集客サービス「ヘヤクレス」を提供する、ヘヤクレス(東京・港区)・高坂周社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)


ヘヤクレス・高坂周社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―提供しているサービスについて教えてください。

当社が法人様向けに提供しているサービスは2種類あります。

1つ目は、「ヘヤクレス」というLINEを使った来店送客サービスです。

部屋探しをしているユーザーをInstagramやFacebookなどの広告から集客し、物件提案を行い、不動産会社への来店を取り付けています。不動産会社からは1ユーザー来店ベースで料金をいただいています。

2つ目は、ポータルサイトからの反響の返信代行です。

「ヘヤクレス」で蓄積したノウハウを使って、反響の一次対応しています。こちらは、稼働日数・時間で料金をいただいています。


ヘヤクレス ※HPより

 

―実際に人がチャットの対応をしているのでしょうか。

そうです。

両サービスともに、10時から26時(午前2時)まで対応しており、専属のチャットスタッフが常時複数人体制で対応しています。

送客サービスに関してはコストパフォーマンスの良さを評価いただいています。返信代行に関しては不動産会社の定休日や営業時間外でも対応しているため、業務のアウトソーシングによる現場スタッフ様の負荷低減に魅力を感じていただいてます。チャットスタッフには、当社からシフト給のほかに来店したお客様の人数に応じて成果報酬を支払っています。

―利用している企業は何社ありますか。

送客サービスを利用いただいているのは都内複数社(合計30店舗)、返信代行サービスは都内・神奈川・千葉の複数社(合計は36店舗)ですね。

どちらも賃貸仲介がメインの企業ですね。

―ある程度、不動産の知識があるスタッフでなければ、チャット対応は難しいのではないですか。

そこは、大まかな要望をお聞きするまでの対応と、専門知識を要する対応とで担当するスタッフを分けています。

ただ、実際に運用してみると、我々が思っていたよりもマニュアル化できる部分も多いと感じています。

来店するまでに何をヒアリングして、何をお伝えしておくかなどのフローを、不動産会社の方と取り決めていくのですが、マニュアル化しておけば不動産知識が無い方でも対応できますね。

―専門的な部分もマニュアル化すれば対応できる。極論ですが、仲介会社の存在意義が問われるようなサービスかもしれません。

不動産業界で行われている仕事を、ITやアウトソースで置き換えていくことは、多くの不動産テック企業が考えていることだと思います。でも、不動産業界は…大人の業界です。その業界に対して「業界をぶっ壊す」というスタンスでは、なかなか上手くいかないのではないでしょうか。

あくまでも、既存の不動産取引方法を尊重し、その一部をお手伝いする、という姿勢が重要だと思っています。

人口自体が減少していますから、人間がやらなくては行けない部分を減らしていく必要はあります。そういった動きのなかで、結果的に、不動産業界の仕事が淘汰されていくという可能性はあるかもしれません。長期の視点を持つことも大事ですが、、あくまでも弊社は不動産会社が今抱えている問題に目を向けています。

と偉そうに言いましたが、そもそも不動産会社にサービスを提供している立場の我々、不動産会社を「ぶっ壊す」とか「減らす」といった考えではまずいですよね。お客様がいなくなってしまう(笑)

―賃貸系不動産テックサービスは管理会社に向いているものが多い。その中で「ヘヤクレス」は賃貸仲介会社に向けたサービスです。

賃貸仲介会社は、賃貸業界の中でも忙しくて、現場がかなり疲弊しています。業務効率化のニーズは高いです。

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