遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。

これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。

今回は、不動産のクラウドファンディングやAIを使った不動産価格査定を提供するFANTAS technology(東京・渋谷区)・國師康平社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

FANTAS technology・國師康平社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―サービスについて教えてください。

当社は、ワンルームマンションを中心とした収益不動産の販売・マッチング事業に加え、1口1万円からネット上で不動産投資ができるクラウドファンディング『FANTAS funding(ファンタスファンディング)』や、AIを駆使した不動産価値の見える化サービス『FANTAS check(ファンタスチェック)』、資産運用サポートメディア等を通じてユーザーとのコミュニケーションを活性化する『FANTAS study(ファンタススタディ)』を運営しています。

『FANTAS funding(ファンタスファンディング)』は、不動産投資の身近な手段をユーザにご提供する為、『FANTAS check(ファンタスチェック)』は、収益不動産の価値を透明化する為、『FANTAS study(ファンタススタディ)』は、不動産投資についての正しい知識を広く世の中に発信する為のサービスです。

―AIの価格査定は、不動産テックの中でもたくさんの企業が取り組んでいます。他のサービスと差別化ポイントはどういったものでしょうか。

ワンルームの取扱い業者が、ワンルームに特化して提供している点です。

『FANTAS check(ファンタスチェック)』は、多くの企業が利用しているシンクタンクなどの調査データに加え、ワンルームの取扱い業者である当社が日々の業務の中で蓄積しているデータや、独自に調査したデータなど、実業を行っているからこそ手に入る生のデータを基に開発しています。

ワンルームマンション等の収益不動産は、資産価値が賃料を基に算出されるため、不動産ポータルサイトに公開されている「募集」賃料さえ収集すれば、理論上の査定価格は誰でも算出できます。また、仮に賃料相場の見立てが同じであれば、理論上の査定価格と本来的な資産価値は大きくズレないはずなのですが、売買の現場においては、査定価格と「実際に売れる価格」にズレが生じていることが多いのではないでしょうか。その理由は、さまざまなのですが、査定するAIに、正しい賃料相場をインプットしていないことや最終所有者となる個人投資家のニーズの移り変わりを反映できていないこと、実際の売買には、売主と個人投資家の間にいる業者の思惑が入ることなどが考えられます。

当社の場合は、当社自身が個人投資家に販売するワンルームマンションの売買事業者であり、「成約」賃料を知る賃貸事業者でもあるため、理論上の価格に顧客のニーズや実際の成約事例を反映し、より実勢価格に近い価格を算出することが可能です。

「ファンタスチェック」 画像提供=FANTAS technology

そして、当社の実業の成長にあわせて、査定精度もより正確で実用性が高いものに進歩できる環境があります。

また、いくら優秀なAIが実勢価格を導きだしても、実際の売主と買主の間にサービスや仲介業者を挟めば挟むほど、様々な利害が入り込み、査定価格と「実際に売れる価格」はズレていきます。『FANTAS check(ファンタスチェック)』では、AIで査定した価格で当社が責任をもって購入するので、そのようなズレは生じません。

米国では不動産テック企業が躍進しておりますが、全米最大の不動産ポータルサイトとなった『Zillow』もユーザーと不動産業者と繋ぐだけのビジネスモデルから、自社での買取を行うようになりました。実業を行うことの重要性が証明されたのではないかと考えています。

▶次のページ:これからの不動産業界は、営業担当個人の力量に頼らない(2ページ目)

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