―相続ビジネスは大きな市場と言われていますが、ニーズが顕在化することは難しいとも聞きますね。
誰も自身の死んだ後のことを考えようとはしないんです。もう、いよいよ亡くなるとなって、本人も家族も相続のことを考え始めます。
今持っている資産をどうするか。現金や不動産が多いでしょう。不動産のなかでも居住用住宅、投資物件などは全て相続の資産になります。亡くなったら、名義を誰かに移さなくてはなりません。住宅ローンの借入も相続の対象です。
しかし、亡くなる被相続人が納得するかたちと、配偶者や子どもなどの相続人が納得するかたちとが異なるケースがあります。そうなると、相続人は被相続人が亡くなったあと、トラブルになる。いわゆる争続ですね。
例えば、兄弟全員が地元を離れていて、もう誰も住まない実家を相続する可能性があるのであれば、本来は早期に売却しておいた方が良いはずです。しかし、そういった手続きは亡くなる直前まで後回しにしてしまう。そうなってからだと、なかなか買い手が付かない。築年数が経っているから、想定したような価格では売れない。分ける相続資産がなくなってしまう。これが原因で家族間のトラブルが発生することって、かなり多いんですよ。
さらに、「認知症」という問題もあります。
認知症になると後見人制度などを活用しなければ不動産を売ることができません。
現在、所有者が認知症によって動かすことのできない資産は140兆円にものぼると言われています。
その他にも、「所有者不明の土地」問題もありますね。そういった土地は九州全土の面積以上だと言われています。これは大きな社会問題です。
政府も相続した土地の登記義務化を進めていますが、部分的な対策という意見もあります。
大切なのは、もっと早期に相続のことを考えて、そのときにできることをやっておくことです。例えば「もし何かあったらどうするか」を盆・正月に家族・親戚と話しておくだけでも大きな違いです。そして、当事者だけではなく知識をもった専門家を混ぜて話しておくことでトラブルを未然に防ぐことや、解決につながると思います。今できる相続準備をすることが「レタプラ」のコンセプトです。
特に50歳というのは相続を考え始めるための一つの節目だと思います。2021年以降毎年200万人以上が増えていきます。今の50代はスマートフォンを当然使いこなせるデジタルリテラシーが高い世代ですから。
―どのような専門家が多いのでしょうか
アカウント購入の専門家は半分が税理士、次にFPなどの資産コンサルタントが多いです。
割合としては、税理士やFPが多いですが、不動産会社からの引き合いもいただいています。分譲事業者や買取再版会社、ワンルーム会社などですね。
また、介護施設の運営会社もいらっしゃいます。サービス付き高齢者向け住宅の運用会社は、入居者と相続の相談をすることが多いからですね。
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