遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。
これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。
日米を中心に不動産テックの最新動向をまとめた「不動産テック 巨大産業の破壊者たち」(日経BP社)が出版された。著者である北崎朋希氏と本間純氏に聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
ーお二人がこの本を書くきっかけは何だったんでしょうか。
北崎 私は2015年1月にニューヨークへ住まいを移し、そこで三井不動産アメリカで北米不動産市場の調査を開始しました。現地のメディアを毎日チェックしていると、不動産テック企業の話題がとても多かった。不動産ビジネスの未来を感じさせるような話題が多い中で、日本はかなり遅れていると感じ、日本にもアメリカの動きを伝えたいと思いました。そこで前職の野村総研で同僚だった谷山智彦さんにお願いして、日経BPの本間さんを紹介してもらい、日経不動産マーケット情報での連載が始まりました。また、谷山さんには書籍の監修をお願いしました。連載開始時から、将来的には書籍にまとめたいと考えていました。
本間 15年から準備を初めて、翌16年の夏から連載が始まりました。今回の書籍はその時の内容がコアになっています。そこに私が書いた記事などもあわせてまとめました。IoT住宅や自動運転に関連する部分など、全体の半分程度は単行本用の書き下ろしです。
ーそういった意味では4年近くかかってできあがった本になるわけですね。
本間 北崎さんがニューヨークへ行ったのと同じ頃、15年~16年にかけて世界的に不動産テックという言葉が普及してきたように感じます。ニューヨークで不動産テックに関するイベントが始まったのも16年でした。その時点から準備していたので、世界的な動向をしっかりと捉えられたと思います。これを読めば、不動産テックと呼ばれるものの全体像がつかめるはずです。
昨年だけを振り返っても、WeWorkの日本進出やAmazon第2本社関連の発表など、いくつもの大きな動きがありました。出版の企画が立ち上がってから、私たちは海外のローカルニュースなどからそれぞれに話題を持ち寄って、Slack(チャットツール)上で議論してきました。ここで3人が交わした5000通くらいの会話が、一番重要な執筆材料になったかもしれません。
北崎 ただ、日本国内のネタ不足には悩まされました。なるべく日本の不動産テックの動向も取り入れたかったのですが、結局7〜8割は海外の動きになってしまいましたね。
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