弁護士ドットコム・クラウドサイン事業部 平皓瑛セールスマネージャー(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―建設・建築業界での導入で、どれほどのコスト削減になるのでしょうか。
企業の規模によって異なるのですが、中には数万~数十万件のご利用があり、その分の紙代や印紙代がなくなります。かなりのコストインパクトですね。
―不動産仲介や管理会社などの利用はないのでしょうか。
問い合わせの件数はかなり増えてきました。利用企業も少しずつ増加しています。
2017年10月に始まったIT重説がきっかけとなって、「これからはあらゆることの電子化が進んでいく」という認識が業界に生まれました。でも、まずは情報収集しているといった傾向がありますね。
新規での賃貸借契約は紙でのやりとりが必要なプロセスがあります。なかなか一気通貫で導入することは難しいようです。とはいえ、先に電子契約を使って締結し、後に紙を渡せば問題ありません。早期契約に繋げるために、運用の流れを変えてご利用いただいている企業もあります。
他にもハウスクリーニングや原状回復の業務委託契約や、駐車場や駐輪場の契約などでの利用が増えてきています。あとは、家賃保証会社の利用も増えていますね。
―不動産業界への普及において、課題となる部分は何なのでしょうか。
不動産会社はお客様のメールアドレスを取得していないんです。これは商習慣になっていますので、メールアドレスをどう取得していくかは、大きな課題になっています。
また、不動産会社とオーナー間でのやりとりを電子化したいという要望があったとしても、オーナーが電子化について行けない、紙でやりとりしたいといった要望が多くて、どうしても電子化に踏み切れないといった声もあります。
ただ、そういった懸念を持っていても、実際に導入してみると8~9割の企業は問題なくご利用いただいています。
電子契約に対して漠然と「受け入れられないんじゃないか」と考えていても、実際に利用すると問題なかったというケースがほとんどですね。
―競合サービスとの差別化ポイントはどこなのでしょうか。
まず、高い法律リテラシーを持った当社が提供しているサービスであるということ。
そして業界の商慣習にあわせて開発を行っているという部分も、利用企業の安心につながっているのだと思います。
UIやデザイン面でも、非常にシンプルで使いやすく・分かりやすくしています。例えば経営層の方が『クラウドサイン』の導入を決定して、いきなり現場にサービスが下りてきたとしても、その日から何の問題もなく利用いただくことができます。それぐらい分かりやすさを大切にしているのは、とにかくユーザビリティにこだわっているからです。
もし導入後に問題があれば、カスタマーサクセスチームでサポートをします。営業部署が導入までを担い、導入後はカスタマーサクセスチームがサポートするという体制をとっています。
―『クラウドサイン』の今後の目標、方向性はどういったものなのでしょうか。
我々1社でサービスを普及させようとは思っていません。
プラットフォームのような立場で、様々なサービスをまとめるような存在になりたいと思っています。
『クラウドサイン』は契約の「締結」「管理」に特化していますが、それ以外のプロセスにおける様々な企業とも提携していくことで、よりユーザーが便利になる流れをつくっていきたいですね。