スペースマーケット・重松大輔社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―運営する上で、オペレーションはどうなっているのでしょうか。
ホストコミュニティの中で、ナレッジの共有を行っています。
また、ホスト向けに、スペース運営にまつわる設備やサービスを紹介する仕組みもスタートしていて、例えばキーボックスやスマートロック、リモートカメラなどの商品や、設備修繕・清掃サービスなどがあります。
―スペースシェア業界に参入したきっかけは何だったのでしょうか。
何かで起業したくて、そのネタを1年ほど探していました。
これから来るビッグウェーブを探していて、シェアに行き着きました。
2013年頃ですね。アメリカのスタートアップのマーケットを眺めていたところ、AirbnbやUberが伸びていて、よく調べてみて「面白いな」と感じました。そして間違いなく「日本に来る」「ビッグウェーブになるな」ということが直感で分かったんですね。
さらに調べてみると、アメリカでは既にAirbnbの会議室版やイベントスペース版のサービスが立ち上がっていたんですね。それぞれ資金調達もしていて順調なようでした。
日本はこれから人口減少社会で、空き家や空き物件はどんどん増えてくる。
一方、テクノロジーで効率化は進んでいきます。不動産ほど非効率でアナログな業界はありません。そういう業界だからこそ伸びしろがあり、魅力を感じました。
また、スペースシェア業界がテクノロジーだけではなくてアナログな部分も必要なことも良かったと思っています。アナログとは、物件集めを足で稼ぐような泥臭い部分を指します。
―なぜでしょうか。
エンジニアだけでできてしまうサービスだったら、優秀なエンジニアがいれば誰にでもできてしまう。ただ、物件を集めるなどのアナログな部分が必要ならば、ただのエンジニアにはできない。一方で、営業だけでもできないサービスですよね。
こういった泥臭く、面倒な部分があったことも先行優位性や参入障壁が作れると思いました。
―他のスペースシェアサービス企業は、ホストやユーザーにサービスを認知させることが難しいという話を聞きます。
サービスを立ち上げた当初、『スペースマーケット』の世界観を伝えるために、ユニークなスペースを押さえることを意識しました。
具体的には、お寺や野球場、映画館、古民家などです。
すると話題になりますよね。TVでもかなり取り上げられましたね。立ち上げた当初は、まず話題性が重要だと思っていました。
そういったところから、認知を広げていきました。
―今後の目標は何でしょうか。
まず優良な物件数を増やしていきたいと思っています。
また、利用データを解析して人の流れやニーズが分かると街づくりにも活かすことができますよね。そういうことをデベロッパーや、ホストにもどういった需要があるのかを提案するなども考えています。
あと、ダイナミックプライシングもやりたいと思っています。
「このエリアで、この時期だと、これぐらいの価格が稼働しやすい」といったことを予測するシステムですね。
適正な価格を細かいエリアや時間、季節性などをかけ合わせて、AIで算出することができれば、手間もなく事業が成長していくと思っています。