ラストマイルワークス・小林雄社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―東南アジア向けのサービスから商品化したのは理由があるのでしょうか。
東南アジア向けには、2年前から始めて、逆輸入のような感覚で日本にも提供を開始しました。東南アジア向けサービス『terior digital city』は、大規模なプロジェクトに活用いただいており、月に1件ほどのペースで制作しています。
日本向けの『terior』は、パノラマ画像のベースにCGを組み込んだサービスです。
一方、『terior digital city』はゲームと同じように、移動が自由にできるCGを作っています。作り込むレベルが全く違います。まずは東南アジア向けに取り組むことは必然でしたね。
この東南アジア向けの技術が『terior』にも活躍しています。
当社はVRコンテンツ製作会社であり、プラットフォームを提供しているわけではないんです。コンテンツを流通させるためにはプラットフォーマーとの関係性が重要です。現在数社のVRサービスプラットフォーマーと提携しています。
VRサービスを開発する上で、どうしても人力が必要な部分があります。そういうプラットフォーマーではできない部分を当社が開発するといった形で座組できればと思っています。
日本で多いパノラマ写真を活用したサービスは、そもそも建物が建っていない場合は不可能です。その時点で中古不動産がメインになってくるんですね。
それに比べると、当社の強みは「未来を作れる」ことだと思っています。建っていない建物も、CGによって作ることができます。そこが今のプラットフォーマーではできないところです。
―パノラマとCGを組み合わせる技術が重要なのですね。
その技術を使って2018年8月にリリースしたのが「バーチャルホームステージング」です。
簡単に言うと、家具を配置したり、消したりできるサービスです。
CGとAI技術を活用しています。
「VRホームステージング」には「家具消し」と「家具設置」の2つのサービスがあります。
主に、「家具消し」にAI技術を活用しており、360°カメラで部屋を撮影すると、AIが家具を画像認識して自動で消すのです。精度はまだ満足していませんが、まずは手作業でカバーしています。
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「VRホームステージング」(画像=ラストマイルワークス)
―利用企業はどういったところになりますか。
不動産仲介会社や、買取再販会社の利用が多いですね。
中古不動産は、入居中の取引が全体の8~9割を占めています。家具を消したり、消した後で家具のCGを設置したり、というサービスは実需のお客から要望が多いようですね。
空室の写真よりも家具があった方が見栄えが良く、購入検討者の意思決定に大きく関わっているようです。
まだリリースしたばかりですが、多くのお問い合わせをいただいていて、「terior」のサービス全体で、毎月200件ほどの制作をしています。
―ラストマイルワークスには、カンボジアと日本2つの拠点があります。ただの開発拠点というわけではなさそうですね。
当社は、2015年にまずカンボジアで起業しました。日本は営業拠点だと思っていただいても良いですね。
カンボジアオフィスの様子(画像=ラストマイルワークス)
開発スタッフ含め約40名が在籍しており、カンボジアがメインの拠点です。カンボジア人が圧倒的に多く、日本人は5名しかいません。
私は、元々不動産関連のアウトソーシング会社で働いていたんです。その際に、カンボジアで120人ほどのスタッフを集めて、日本の不動産会社の物件の打ち込みや、間取り図作成などの代行をしていました。
かなりの需要があるのですが、薄利多売のビジネスでした。1つの間取り図作成で、安いものだと100円くらいしかもらえない。
そういったビジネスを3年ほど経験して、起業しました。アウトソーシングのサービスで、カンボジアの人たちが安く搾取されていることが嫌になったんですよ。誰も幸せになっていないことに気付いたんですね。低賃金でかなりの業務量をこなす。料金が安いから、スタッフの賃金を上げることも難しい。
そこで、「カンボジアで価値のあるものを作って、それを世界に売ろう」ということを考えました。ただ、そんなに簡単ではなく、何かに特化しなければなりません。