Zens・町田龍馬社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―こうして拡充されたサービスはどのように評価されていますか。
Airbnbには「スーパーホスト」という称号制度を設けています。スーパーホストは宿泊者の総合レビューで過去1年間、80%以上の方から五ツ星をもらえないとなれないのです。だから、スーパーホストは世界で9%、日本でも10%の割合ほどしかいません。
我々の物件では、40%ほどがスーパーホストと評価されています。
Airbnbのレビューには様々な項目が用意されているのですが、一番大切な部分は「清潔さ」です。清掃をミスなくきちんとやるといえば単純で、誰でもできることだと思われるでしょう。でも、管理する物件が多くなればなるほど本当に難しいです。
「正確さ」も重要です。掲載されている写真と実物がどれくらい近かったか。そして「費用対効果」、「コミュニケーション」なども総合評価に影響を与えます。
代行会社でよくあるのは、物件が増えるほどクレームが多くなり、レビューが悪くなり、売上も落ちてしまう。そして他の代行会社にリプレイスされる。
問題をマンパワーで対応しようとしても無駄です。責任を現場のスタッフに押しつけてクビにして、人を入れ替える。でも、またミスがでてきての繰り返しになるんです。やっぱりソフトウェアで解決しなければいけないと思っています。
レビュー情報はデータの宝庫です。とても重要視しています。代行会社としての我々の大きな使命は、物件オーナーの手取りを最大化させることです。
民泊で手取りを最大化させるには、平均単価と平均稼働率を上げるしかありません。そのためにはレビューなんです。レビューが良いと、スーパーホストになって、検索でも上位に表示されます。
ではどうやって、レビューを上げるかというと、現状のレビューを把握しなければなりません。そのためにもレビューデータは必要ですよね。
―民泊代行はどれぐらいの物件を管理しているのですか。
宿泊事業として運営代行しているのは77件です。
毎月8〜12件ほどのペースで増えていますね。
民泊新法施行で、民泊市場はとても悪い状態だと思われているかもしれませんが、私は景気は良いと感じています。なぜなら、施行で民泊物件が少なくなり、宿泊単価が2倍ほどに高くなりましたから。
千葉県の舞浜で進めている案件は、100㎡ほどの戸建てを民泊にします。駅から徒歩15分の立地なんですが、この物件のオーナーは5年間ずっと売りに出しているんです。でも、希望金額で売れない。その間、何もしないのももったいないということで相談をいただきました。
舞浜ってディズニーランドがあります。世界中から観光客が来ます。だから14名の大人数で泊まれるようにすると、大家族が1泊で5~6万円ほどになるんです。180日稼働させるだけでも、賃貸住宅として貸すよりもはるかに高い収益が見込めます。
―そういった物件は不動産会社などから紹介されるんでしょうか。
物件オーナーからの問い合わせがほとんどです。
不動産管会社さんは、自社でやろうとされるところが多い印象です。
でも多言語でのゲスト対応や安価でスピーディに動けるスタッフの手配などは、簡単にできることではありません。
「うちは英語できる社員がいるから任せよう。」「コーディネイトも内装もできるから、すぐにできるだろう」と考えるのかもしれません。
でもそんなに簡単な話じゃないんです。
我々は4年間、何千万円もの開発費と運営ノウハウを使いシステムを継続開発しています。
―今後の目標はありますか
『Zens App』『Zens Home』『Zens Work』など民泊に関連する業務をまかなうためのツールを確立して、エコシステムを機能させたいですね。あらゆるところで、これらが自動で動いているような環境を作りたいと思っています。
単に収益化を目指すだけではなく、たくさんのユーザーを集めて、使えるサービスにしたいと考えています。