teritoru・日置愛社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―サービスの話に戻ります。ユーザーの年齢層や属性などは、どういった方が多いのでしょうか。
アンダー35歳で独身の方が一番多いです。
『weeeks』の「1週間のルームシェア」というサービス内容から、20代前半や学生といった若者が利用しているとイメージしている方が多いのですが、実は20代後半から30代の社会人の方が多いんです。
若者は同年代で出会いの機会も多いし、仕事をしていてもまだ慣れていないので、いろんなことが新鮮なんです。少し年齢を重ねて組織人になればなるほど、新しい人との出会いが少なかったり、自分の世界を広げることが難しくなったりする。自発的に動かないといけなくなるんですね。
でも引っ越しや転職は気軽にはできない。
「じゃあ1週間だけ帰る家を変えてみるだけで気分転換になるかもしれない」という目的で使ってくださっています。
宿泊の様子(画像提供=teritoru)
利用料金の価格帯も安さで引きつけてはいません。1週間の利用料は2万5,000円です。
社会人にとっては1泊4,000円程度なので安いと感じるかもしれません。でも、学生からすると結構な金額です。だから、「大人の合宿」として使っていただいていますね。
―「大人の合宿」ですか。
皆さんバックボーンが違う方が集まるので、仕事の話やキャリアの話に偏りがちなんです。私も、『weeeks』を利用している1人ですが、よく仕事やキャリアの話になります。
結局、皆さん自分の将来の選択肢を広げるということにフォーカスするんです。
1週間一緒に暮らすので、自分自身が何者かを知ってもらわなければいけません。「自分という人間はこういう背景をもっていて、こんな仕事をしてきて今に至るんだ」ことを伝えないと信頼を得られませんから。すると、「今後どうしたいか」という未来の話を寝る前に語り合ったりする。
結果的に『weeeks』を通じて転職を決めた人もいれば、フリーランスの人でそこで出会った人と新しいプロジェクトを始めた人もいます。
今、メディアで盛んに「副業2.0」など、パラレルワークを促進していますよね。つまりキャリアの幅を広げようとしている人が増えていると思うんです。そのためには自分自身と見つめ直さなければ場ならない。自分を見つめ直すうえで、自分って他者との反響によって形づくられる。そこで他者と暮らすというのは、自分を見つける方法としても良いのかなと思っています。
―物件の魅力よりも一緒に住む人に価値が出てくる。経験や体験が重要になってくるのですね。
そうです体験ですね。
これは理に適っていると思っていて、大企業が組織をマネジメントするうえで、合宿をするじゃないですか。あれはチームビルディングの一環としてやっていますよね。
それと一緒なんです。他人と寝食を共にするということは、人との関係を築くには凄く効果的です。それを、会社を超えてやっているのが『weeeks』という感覚です。自分の興味や関心が合う人と、深いコミュニティを短期間で築くことができる。
teritoru・日置愛社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―新しい人との出会いや、選択肢を増やしたいというユーザーのニーズがあるのですね。
今、世の中ではあらゆることが効率化されています。
だからこそ、「人との出会い」や「体験」といった不確実な部分を求めるんだと思います。
不確実な出会いって楽しいんですよね。
なぜなら、宝探しと同じで分からないワクワクがあって、心おどるからなんです。だから社会が効率化すればしていくほど、人との出会い方に関しては、不確実性を求める人が増えてくるんじゃないかなと思っています考えています。
誰と出会うか、どんな環境に身を置くかで、人生は変わります。
それを気軽にできるのが『weeeks』です。将来的にはバーに行く感覚で、セカンドハウスが持てて、大人の合宿が気軽にいっぱいできたら面白いと思っています。
>>次のページ:不動産業界を変えるは慣習に疑問を持った消費者。(4ページ目)