遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。
これまでの商慣習や仕組みが劇的に変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。
今回は、建設現場の建物・人・工程を一元管理できる『Photoruction(フォトラクション)』を提供する、コンコアーズ(東京・中央区)・中島貴春社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
コンコアーズ・中島貴春社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―コンコアーズは、建設業界向けに『Photoruction(フォトラクション)』を提供しています。つまり、建設業界でも不動産業界同様に「紙が多い」といった、アナログな風潮があるのでしょうか?
実は建設業界は、ゼネコンをはじめとした各社が、独自にIT化に取り組んでいて、全くIT化が進んでいない業界ではありません。しかし、工事現場に関しては、まだまだアナログな部分が多く、課題がたくさんありました。
一番大きな課題は、実際に現場で働いている人に、建築・建てること以外の仕事が多いことです。現場写真の整理とか書類作成とか、図面管理などです。こういうところにすごい時間を取られているんです。
建設業務が終わった17時以降でなければこういう作業をする時間が取れないことも問題です。建設業界全体で、労働人口が減っていきます。2025年には100万人以上人が減ると言われているんです。生産性向上が非常に重要になるので、もっと有効にITを使っていこうというのが大きな流れになっています。
今年に入り、Construction-Tech(コンストラクション・テック)という言葉も出てきました。当社も建設業界のIT化という部分を事業ドメインにしていますので、その1社と認識されていると思います。
―ITを活用して、人手不足や業界イメージを変えていく必要があるのは、不動産業界と同じです。
そうですね。当社は、私がゼネコン出身で、長く建設業向けのシステム作成にたずさわった者や、20年ぐらいゼネコンにいて10年は建設現場にいた技術者など、業界や業務をよく理解しているメンバーで立ち上げました。業界が抱える課題を解決するソリューションを提供できると考えています。
―『Photoruction』について教えてください。
2017年11月にサービスをリリースしました。2016年の11月頃からベータ版のテストを始め、クローズドの環境でいくつかの企業に意見をもらいながら試行錯誤を繰り返し、完成しました。
『Photoruction』は、簡単に言えば、工事現場の図面や写真、工程などを一元管理できるサービスです。タブレットやスマホで撮った写真や、入力したデータをリアルタイムで情報を共有し、進行の管理などができます。
様々な建築プロジェクトやデータを管理できる(画像提供=コンコアーズ)
東証一部の大手ゼネコンから店舗設計や内装企業、設計事務所などに導入いただいており、10,000以上の建設プロジェクトで活用いただいています。
『Photoruction』は、パソコンで操作する場合は、インターネットブラウザで動くので、専用のソフトなどは必要ありません。
管理画面では、自社で建設した・建設途中の物件を一覧で見ることができます。プロジェクトへの参加人数なども見ることができ、建設に必要な関係者をアサインする作業や、建設現場では社外協力者が多いので、その方をアサインすることも可能です。
データはプロジェクトごとに管理できて、写真や設計図面を見ることができます。また、ToDo管理のように、「どこで、いつ、誰が、どんなことをしなければいけないのか」を担当者に割り振って、メモ機能で指示を追記したり、タスクの進行度合いのステータスをわり振ったり、進捗のチェックリストなどもすぐに見ることができます。つまり建設現場の人と建物を管理することができます。
検査の進捗も確認できる(画像提供=コンコアーズ)
また、検査業務などでも活躍しています。
工事現場では、配筋検査といった様々な検査が多いのですが、それがどこまで検査できているのかといった進捗の確認などもできます。