スペイシー・内田圭祐社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―不動産取引もCtoCがメインになってくるのでしょうか。
不動産の商習慣がすぐ変わるとは思えないので、断言はできません(笑)。
不動産業に限らず、例えばお店は、週5日間で1日8時間オープンしていますね。あるいは、週7日で1日12時間オープンにしていたりします。それが普通の会社というか、普通のお店ですよね。
こういった形でサービスを常に提供することって、個人で提供するのは難しかったりする。
例えばクリーニング店を個人でやるのは難しいです。常にサービスを提供し続けることになりますから。しかし、洗濯機を持っている個人は多い。そういった個人が所有しているモノを、常にではなく空いている時間に使ってもらうようなサービスをできるかもしれませんよね。
また、クリーニングに服を出しているほとんどの人は、きちんと洗って欲しいからだと思います。しかし、単身の男性ビジネスマンなどの場合は、洗濯が面倒くさいからクリーニング店に題している人も、多分いるでしょう。
本当は、普通のレベルの洗濯をしてくれれば良いと思っている人がいる。そういった人に、個人の洗濯機を活用した洗濯サービスなどが生まれるかもしれません。
―個人が提供する、時間を限定したランドリービジネスが生まれるわけですね。
人は物理空間を中心にして、情報空間の中で生活をしています。例えば、コインランドリーも大通りに店舗がある方が有利でした。
しかし、大通りの賃料は高い。つまりフル稼働しないとやっていけない。ビジネスとしてフルで提供することでしか存在できなかった。
そこが変わっていきます。個人が持っているモノを、一部・一時的に貸すだけでも成り立っていく可能性を秘めています。
―そういった部分に個人のシェアリングやCtoCビジネスが生きるんですね。
集客においても変化があります。
これまでは、「使える時があるから使っていいよ」という個人のメッセージは、toCに入ってこなかったんですよね。しかし現在は、例えば個人が書き込んだ感想が読める「食べログ」などで調べて、裏通りでも美味しいお店なら行列ができるじゃないですか。
それと同様に、個人が提供するあらゆるサービスが、時間で区切られたかたちで見つけることができるようになるのだと思うのです。
個人が所有する洗濯機や車の空いているスケジュールが公開されていて、例えば「代々木駅で洗濯機」みたいな感じで、検索するようなサービスも出てくるのではないでしょうか。
しかも、安価に利用できる。500円で済むとなるなら、CtoCのシェアリングが普及していくようになるのではないでしょうか。
―それが実現するなら、売りたい人と買いたい人をつないで手数料をもらっていたビジネスは変わってきますね。また、自宅の洗濯機とか、使っていない庭の畑に新たな価値が生まれてきます。
そうですね。
今までのモノは、使ってないときは価値がゼロで、強いて言えば、売ろうとするときだけ価格があった。でも、中古では二束三文にしかならないことがほとんどでした。それが、貸し出すことでいくらかになる。そこに別の資産性が出てくる、みたいな感じですかね。
―ではスペイシーの目標を教えてください。
多くの人が活躍できるワークスペースを提供する『スペイシー』の事業を通じて、人の持つポテンシャルを引き出し、発揮するのをお手伝いできたら良いと思っています。