イー・ビジョン・酒谷信佳社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―このような情報はどのようなサービスとして提供されるのですか。
システムの中で、仕組みとして提供することを考えています。「この物件の特徴はこうですよ」「周りの物件はこうで、この物件はこういうところが魅力ですよ」というのを見える化していきます。
この考え方は、我々が考案したものではなく、すでに世の中に広くあるものです。例えば、Amazonはお客さんを分析し、商品も分析してベストマッチングを提案していますよね。このお客さんは、「この商品を買う可能性が高い」。商品は商品で、何億という商品の特徴を見ながら分析して提案していくことが主流であり、すでに売れるという結果が出ています。
不動産業界でも、まず商品である物件の分析を始めて、物件それぞれの特徴を集めていきたいと思っています。
次に顧客の分析を行い「こういったお客さんにはこういった物件を提案すればホットだよ」といったことが出せるようになる。それが、どの広告なのか、媒体なのか、チャネルなのかが分かるような仕組みができるようになります。
広告内容を最適化して、最適なチャネルに出稿していく。新しいことをやるというよりかは、Googleアドワーズや、Amazonが成功しているモデルを不動産でやったりするとこうだよね、という感覚です。
―イー・ビジョンの今後目標を教えてください。
我々が不動産業界向けのサービス開発を始めた理由とも重なりますが、不動産業界は特殊で、特に日本独自の商習慣がある業界だと思っています。その独自の商習慣のおかげで、シリコンバレー発のテクノロジー企業などが参入しにくい業界であるという部分も実は魅力だったりします。
もともとは、私はエンジニアです。だから、技術だけで世界と戦える会社を作りたいと思っていました。しかし、何かを開発・販売をするにしても、海外の企業は何百億円もの資金が集まり、何十万もの企業に販売できる環境があります。そこと正面から戦うのは厳しすぎる。
まずは国内の市場だけでも、変化を与えられる業界はどこかと考えた場合、不動産業界だったんです。そういった意味では、不動産業界はすごく面白いと感じています。
例えば、『miraie』で物件登録作業のうち7割が削減できると言いました。これまで、紙を見ながら1個ずつ項目を確認して、コメントなども入れていかなくてはいけなかった状況がそもそもおかしかった。
本当に不思議な業界ですが、なんで紙なんでしょうか?
不動産会社の方は皆さん一日の業務のうち広告制作が6割で、接客が4割くらいと言います。これはもう、自分が何屋なのか、わからないではないですか。
ですから、機械が出来ることは徹底的に機械に任せ、人が行わなければいけないことに注力していただくことで、業界全体の生産性向上やバリューアップに貢献できるサービスを作って行きたいですね。
そういった中で、不動産業界の変革の一助となれれば幸いです。