遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。
これまでの商慣習や仕組みが劇的に変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。
不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。
今回は、不動産会社向けに集客支援ツール『miraie(みらいえ)』を提供しているイー・ビジョン(東京・新宿区)・酒谷信佳社長に話を聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)
イー・ビジョン・酒谷信佳社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―『miraie(みらいえ)』について教えてください。
『miraie』は、不動産会社向けの次世代集客支援システムです。これまで労力の割に効果の出ていなかった広告や営業活動を、最新のビッグデータや人工知能を使って改善することで、これまでよりはるかに効率的に、より多くの反響を獲得できるようになります。
現在、不動産会社の営業活動では改善すべき2つの大きな問題があると思います。1つは大きな手間となっている物件情報の入力業務で、2つ目は反響・集客の最大化できる広告を簡単に作れるようにすることです。これらをビッグデータや人工知能を使って解決しようとしています。
最新技術を使ったこれらの機能は、多くのお客様にご納得いただけており、全国約300店舗以上に導入頂けました。お陰様で、現在も多くのお客様との商談が進んでいる状態です。
―物件情報の入力業務はどのようにして手間を減らすことができるのでしょうか。
何年にもわたり物件情報を蓄積し、データベースを構築してきました。『miraie』では、このデータを利用しています。物件の住所など主要な情報を入力するだけで他の情報を自動的に補完入力され、およそ70%以上が自動入力されます。
入力補完で利用できる情報は物件情報だけでなく、所在する地域の情報や周辺施設、さらにに学校情報や用途地域などの行政情報ついてもデータベースを整備して、自動入力に利用されています。
『miraie』のデータを解析した物件入力の様子(画像提供=イー・ビジョン)
多くの会社で、物件入力に非常に多くの時間とコストがかかっていますが、このような自動化によって、その時間を減らして、その分、消費者とのやり取りに充てて頂けるようにすることを提案しています。
実際『miraie』では、入力作業は大幅に軽減されました。ご利用のお客様からは、物件入力や広告作成の「手間が激減した」と喜んでもらっています。
―アップする画像の処理には人工知能が使われているそうですね。
反響を取るには、きれいな画像ときちんとした説明を合わせて掲載することがとても重要です。しかし、これらの画像やその説明は、画像を1枚ずつ登録し、その1枚1枚に対して画像種類や説明文を考えて登録するのは非常に手間がかかります。最近は1物件に対して50枚以上の画像を登録することも珍しくありません。
『miraie』ではこのような画像登録の手間を大きく減らします。まず、登録したい画像はドラッグ&ドロップでまとめて簡単に登録できます。それぞれの画像は人工知能よって自動認識され、勝手に何の画像なのかを判別してくれます。また、その判別の過程で、写真のコメントも自動で入力されていきます。例えば、浴室の画像なのか、リビングの画像なのかを人工知能で瞬時に判別し、写真のキャプションとして「お風呂」とか「リビング」などと自動的に入力されていきます。
画像解析の様子(画像提供=イー・ビジョン)
これによって、画像登録で大きな手間となっていた作業の多くを自動化できるため、より多くの画像を登録することができるようになります。結果としてより消費者に訴える広告となり、反響の獲得につなげることができます。
人工知能の開発には最先端の技術とともに、大量の学習用データが必要です。ここでも弊社が長年不動産関連システムを取り扱ってきたことによる強みを活かすことができました。