軒先・西浦明子社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―今後の構想について教えてください。
『軒先ビジネス』の派生版で、今年の5月末に吉野家ホールディングスと提携して『軒先レストラン』を開始しました。レストランをシェアするサービスです。
我々はスペースシェアのノウハウはありますが、飲食業のノウハウはありません。キッチンを誰かに貸し出すうえで必要な対策はわかりません。そこで、吉野家さんに協力してもらいスタートしました。
今はトライアル中で、どこをうまく最大公約数を取って、プラットフォーム化できるかを模索しています。
まだどんな利用があるのか、ケースバイケースで対応し、利用できる冷蔵庫や、利用者の属性などを見て、スタンダードなサービスを作ろうと考えています。
カレーうどんの千吉は、吉野家ホールディングスのチェーンなのですが、東京・千代田区岩本町にある店舗では、うどんの注文が少ない夜の時間帯にチュニジア人シェフの地中海料理を出すお店として活用しています。看板や内装はうどん屋のままですので、少しシュールなのですが(笑)なかなか好評のようです。
このように、外国人の方にも大きなニーズがあるサービスだと感じています。就労ビザを持っていても、なかなか店舗の賃貸契約が結べない方がすごく多いようです。
飲食店は、テナントを借りる敷居がとても高いです。個人の方が、保証金を何カ月分も払って、内装工事費かけて、借金してというのはとてもリスクがあります。しかし、出店したい方は絶えません。「その廃業率を下げたい」というのが吉野家ホールディングスの思いです。新しい飲食出店スタイルを世の中に広めたいと考えています。
賃貸店舗は、出店側とオーナーとの情報格差が激しく、また、オーナーも管理会社も、その店舗にどんな飲食店が入っていて、収益はどうだったのか、などの情報を持っていません。
オーナーはテナントが埋まって、家賃が入ればそれで良くて、テナントが儲かっていようと儲かっていなくとも関係ない、といったスタンスです。その中で、出店側は出店ニーズも分からずにテナントを選ばなくてはならない。
そういったリスクもふまえて、ゆくゆくは最初の賃貸契約の時点から、「シェアもできる」といった事を賃貸契約の条項に盛り込めれば良いなと考えています。その分、オーナーは高く賃料設定できるようにしても良いですね。複数の飲食店が共同で利用できれば皆ハッピーになるのではないでしょうか。
―自分の店を持ちたい方の足がかりとして活用できれば良いですね。
試しに3カ月やってみて、うまくいったら近くで店舗を本格的に持つ、といった事もできますよね。そういった橋渡しができればと思います。
―将来的な目標はなんですか?
当社は駐車場やスペースだけにこだわりを持っている訳ではありません。もっとさまざまなシェアサービスを通じて、街づくりに関わりたいという思いがあります。
街の賑わいを『軒先ビジネス』でつくり、『軒先パーキング』で駐車場予約から人が集まる導線を作ることができます。このような街づくりに関わるような事業やサービスを通じて貢献していきたいと考えています。
「ひとつのプラットフォームを巨大化していく」というよりかは、シェアリングという共通の事項はありながらも、いろんな柱を作っていくようなことを考えています。