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―情報可視化にとりくむ不動産テック企業からは、日本の不動産市場ではデータを集めにくいという声が聞かれます。

個人的には、レインズの販売情報などは公開すれば良いと思っています。今でさえポータルサイトがあって、かなりの情報を見られるのですから。ただ、成約価格は「201号室に住む、あの人がいくらで買った」ということが分かる、個人情報に関わる情報とも言えるので、怖い部分はあるのかなと思います。

確かに海外では売買価格も公開されています。その方が、不動産価値の向上にもつながり、取引が活発化すると考えている人も多い。だから、経済拡大の方向をとるのか、プライバシーをとるのかを考えて、世論というか、国民が不動産成約価格公開を許容できるような意識になっているかどうかですよね。

ただ成約価格が公開されたと言っても、不動産取引の現場が劇的に変わるということはないと思います。既に、『マンションレビュー』や他のサイトでも、過去の売出価格を閲覧出来るようになっているので。

6月に行われたフォーラム「不動産テックのすべて」での登壇の様子(撮影=リビンマガジンBiz)

―不動産テックでも劇的な変化は起きませんか。

とりあえずは業務改善という点で不動産テックは伸びていくんじゃないでしょうか。VRでいえば、物件を絞り込む段階ではとても有効ですが、物件を買う時は現地を見なければ買わないでしょうし、電子契約で効率化される手続きも多々ありますが、リアルでの対応が必要な現場がまだ残っていますので、人が全く介在しないで、不動産取引が完了出来るようになるのは、もう少し先かなと思っています。

だから、ひとまず不動産テックは、不動産会社側の業務改善や、一般の方向けの情報提供といた分野で伸びて行くと思っています。まずは、そのフェーズで不動産テックが浸透し、不動産取引がより安心なものになっていけば良いなと思っています。

 
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